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芸能人インタビュー

役者として、人間として。すべての『長門裕之』を支え、包み込む、大きく温かな存在 2009.11.16
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芸能一家で育ち、つねに役者という定めと共に生きてきた長門裕之さん。生涯現役として第一線で活躍するベテラン俳優でありながら、気取らず温かい人柄が魅力です。11月21日公開の出演作『黄金花 —秘すれば花、死すれば蝶—』や、愛妻・洋子さんへの想いを伺いました。

 

 

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最愛の妻・南田洋子さんのためにも、役者であり続けたい

 


 
「役者っていうのは浮き草みたいな商売でね。国が保障してくれるわけでもなければ、退職金が出るわけでもない。『この作品に出てほしい』と誰かに求められてようやく成り立つものなんだ。俺は75歳だから、もう75歳の芝居しかできない。演じられる役は自ずと限定されてくる。それでもこうして、しぶとく役者業にしがみついているんだ」


芸歴70年の大ベテラン・長門裕之さんは、少し照れ臭そうに笑います。舞台公演の合間に、楽屋で話を伺いました。


今、長門さんの心を占めているのは、たった一人。最愛の妻・南田洋子さんです。四年前、洋子さんが認知症と診断されて以来、長門さんの献身的な介護の様子がテレビで放送され、大きな反響を呼びました。外では仕事、家では介護というハードな生活。しかし、「そうじゃないんだ」と長門さんは力強く否定します。

 

「俺は、洋子がいるだけで救われてる。家に帰れば洋子がいる、それだけで頑張れるんだよ。洋子の面倒を見て、精神面・生活面共に守り続けていくためにも、役者としてもっともっと向上していかないと」。長門さんがこれまで以上に必死に、真剣に仕事と向き合うのは、すべて洋子さんへの想いから。限界まで己を磨き続ける役者・長門裕之は、本人の言葉とは裏腹に、多くの人々から必要とされています。そしてこの11月、新たな映画に出演します。
 
晴れやかに老人を描く。夢幻と現実が入り交じる美しいファンタジー
 


舞台は老人ホーム『浴陽荘』。そこでは植物学者の牧博士をはじめ、物理学者、自称映画女優、易者、板前、質屋などの多くの孤独な老人たちが、嘘とも本当ともつかぬ、奇妙で不思議な日々を送っていた。人生の大半を植物学の研究に費やした牧博士は、長年探し求めていた不老不死の花『黄金花』を、山中の小さな泉でついに見つける。そして夜中に老人ホームを脱走し、時の川を遡る…。時空を超えたファンタジー『黄金花 —秘すれば花、死すれば蝶—』。メガホンをとるのは木村威夫監督、91歳。日本を代表する美術監督としてこれまで200本を超える作品に参加。昨年、長門さん主演の『夢のまにまに』で長編映画監督デビュー。本作は二作目。長門さんは浴陽荘の院長を演じます。「木村監督のこれまでのキャリアで培われた美意識が余すところなく表現された、幻想的で美しい作品だ。これは絵画だ、と思ったね」。


長門さんは映画の冒頭シーンの美しさに息を呑み、「このレベルで映画を撮ったら人間は邪魔になる」と思ったほど。そんな驚きすらやすやすと超越し、監督の世界観を完成させたのが、原田芳雄さん(主人公/牧博士役)。


「原田さんは本当に凄い役者。自身の演技論が確立されていて、他の追従を許さない。日本広しと言えど、彼ほどの頑固さとエネルギーを持ち合わせた人はいないよ。登場人物も多く、それぞれがみんな強烈な個性を持っているのに、この作品は群像劇にはならなかった。原田さんを起用した時点で、原田芳雄の物語になることは決まっていたんだ」と、長門さんは惜しみない賛辞を贈ります。


既存の映画手法、規制概念や常識を打ち破った木村監督渾身の作。「映画に残された余白」の中で存分に戯れ、世阿弥の幽玄、シェークスピアの猥雑さが絡み合い、前衛的かつ芸術的な作品に仕上がりました。


「観賞後、まず衝撃が訪れ、そしてエンディングの音楽の中で贅沢な余韻に浸る。映画業界はわかりやすい起承転結が好きだけど、それは観終わった瞬間に消えてしまう。でも、この作品はそうじゃない。いつまでも心の片隅に引っ掛かり、残り続ける。観た人に宿題を持って帰らせ、『思考の余白』をくれる。そこからさまざまな発想が拡がっていく。これは凄いことだよ。木村監督が一年に一本のペースで映画を撮り続けたら、日本の映画監督たちにとっては脅威だろうね(笑)」
 
「すべては洋子のために」。長門さんを動かす、大きく温かな想い
 
映画や芝居について熱く語る長門さんの目に、輝きが宿ります。本能とも言うべき仕事への情熱。その一方で、仕事中であっても、つねに洋子さんのことは頭から離れません。「こんなこと言うと仕事に失礼だね。ちょっとだけだよ」と苦笑い。


洋子さんの姿をメディアに出すことには、もちろん長門さんの中でも葛藤がありました。しかし、隠すほどに『覗き』が増えたのも事実。ありもしない憶測が飛び交うよりは、真実をきちんと伝えたい。その思いから決断しました。「あんた、私を売り物にしたわね!」と洋子さんに一喝されてでも、「これを機に回復してほしい」との願いがあったと打ち明けます。


「洋子が認知症だと知ったとき、絶望で目の前が真っ暗になった。でも今は、何も恐くない。俺と洋子と認知症さんの三人で、生涯仲良く生きていきたい。洋子には今まで散々苦労をかけてきた。親父まで看取ってもらって、この上自分まで洋子に面倒を見られる羽目になったら、俺は生きてる価値ないよ。これは天が与えてくれた最高のキャスティングだ。洋子が愛しくてたまらない。愛に震えてる。でも、その愛に気づくのに時間がかかってしまった。今は毎日が楽しくて仕方ないんだ」。長門さんはそう言って、最高の笑顔を見せてくれました。
 
この取材が行われたのは10月15日。

その二日後、洋子さんは体調を崩し緊急入院。21日に永眠されました。

心よりご冥福をお祈り申し上げます。

 

役者/長門 裕之
ながと・ひろゆき 1934年京都府生。6歳の頃より子役として活躍。『太陽の季節』(56)に出演後、『にあんちゃん』(59)でブルーリボン主演男優賞、ホワイトブロンズ男優賞、『古都』(63)で毎日映画コンクール助演男優賞など、受賞歴多数。映画、テレビ、舞台で幅広く活躍中の現役ベテラン俳優。


 
黄 金 花
—秘すれば花、死すれば蝶—
原案・脚本・監督/木村威夫 出演/原田芳雄、松坂慶子、川津祐介、松原智恵子、麿赤兒、長門裕之 他 配給/太秦 11月21日よりシネマート新宿・銀座シネパトスにて公開、他全国順次


© PROJECT LAMU / UZUMASA

 

 

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