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石田えり/人間は誰しも、理想の自分になれる可能性を秘めている。それを女優として証明したい 2010.06.24
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母性、したたかさ、底知れぬ不気味さ、野性的な色気…女性のあらゆる表情を体現してみせる女優・石田えりさん。役を飲み込み、消化することで、内面からその存在感が滲み出てくる。そんな石田さんは6月12日公開の映画『ACACIA —アカシア—』で、アントニオ猪木さんと共演する。
 
嘘をつくぐらいなら女優は辞める。誇り高き表現者


 
「年を重ねるごとに心はどんどん解放されて、自由になっていきます。不思議なもので、表面は老いて衰えていくのに、内面は若返っていくの。年をとるのも良いなぁと思う反面、女優としては厳しくなるよ。年齢と共に役が限られていく中で、いかに生き残るか。日本の女優業はシビアでしょ(笑)」


明るく無垢な笑い声、歯に衣着せぬ物言い。つねに自分の心の声に従い、正直に生きてきた石田えりさん。潔く、胆の据わった女性です。


「家庭を持っていない私にとっては、作品一つひとつが子どものようなもの。今までいろんなことがあったけど、好きだから続けてこられたんです。どんなに苦しくても、私はずっと女優でありたい」


石田さんには興味深いエピソードがあります。それは小学生のとき。テレビを観ていて、画面に『制作/渡辺プロダクション』という文字が現れた瞬間、「あ、私はこの事務所に入るんだ」と確信。実際に中学三年生で、彼女は同事務所から女優デビューを果たしました。


「『なりたい』というより、なるものだと信じて疑わなかった。熊本のド田舎の女の子がね(笑)。不思議だけど、自分が女優になることを知ってたとしか言いようがないの」。それだけに、石田さんにとって女優業は特別です。


「もし、この仕事を『こなす』だけになってしまったら…そのときは潔く辞めます。生活の手段にしか思えなくなった瞬間、夢も誇りも失うの。割り切って妥協したら、台詞は全部嘘になって、何も伝えられなくなる。生活のために女優にしがみつくより、皿洗いのアルバイトでも何でもやって、『今日も一日終わった!』ってビールを飲む生活の方がよっぽど性に合ってるよ(笑)」
 
演技は可能性の追求…『ホンモノ』になることで伝えられること
 
「役者より、一般の人たちの方がよっぽど演技が上手ですよ。『仕事』として演じている私の立場がなくなっちゃう(笑)」と、意外なことを言う石田さん。その真意とは?


「人間は必ず、どこかおかしなところを持ってる。でもそれを隠して、普通の顔をして生きてるの。みんな大なり小なり、演技をしているんです。私の友達にもいますよ。女優顔負けの、あっぱれな演技をする人が(笑)。ギャラもなくここまで出来るのかと(笑)」


石田さんには人間への飽くなき探究心があります。心理状態、精神と肉体の関係性などに、演じる人間として強い関心を寄せているのです。

 

「私にとってはすべての物事が演技に繋がってくる。たとえば、災害の恐怖が心身に刻み込まれた被災者の方は、笑顔で普通に話してるようでも、体は小刻みにガタガタ震えてる。不謹慎かもしれないけれど、そういうことを『演技』で出来たら…って考えずにはいられないの。どこまでリアルに、真実として見せられるか?って」


かつては役を作り込み、自分の思い通りに演じることが出来れば満足でした。しかし今は違います。


「『石田えり』という存在を、いかに消し去るか。カットがかかるまで気付かなかった、自分が何をしていたのかまったく覚えてない…。それぐらいの境地に達したら、完全に、別の人間になったと言えるんじゃないかな」


石田さんは、独自の哲学を持っています。『心から強く望み、努力を続ければ、なりたい自分になれる』。実際に別人になることによって、役者はそれを実践しているのだそう。


「凄く夢のある話でしょ? 役者だけじゃなく、誰でも理想の自分になれる可能性を持ってるの。私は演じることを通じて、その可能性を伝えたい!」
 
父の愛とは何かを問いかけ、人間の絆を描き出すヒューマンドラマ


 
石田さんは逃げることなく、自身の内面と徹底的に向き合います。


「誰かの一言で『コノヤロー!』って腹を立てること、ありますよね。腹を立てた理由をとことん分析していくと、見える見える…見たくもない自分の醜い部分が。それで三日間ぐらい落ち込んだり(笑)。でも原因がわかれば、時間はかかっても、苦しみから解放されます。わからないままにしておくから、余計苦しくなるんです」


その哲学的思考が、役作りに活かされています。しかし最新作『ACACIA(アカシア)』(6月12日公開)では、役をなかなか掴むことが出来ず、石田さんは悩み抜きました。


函館のさびれた団地で余生を過ごす、元覆面プロレスラーの大魔人。彼は息子に充分な愛情を注げなかった悔いを胸の底に秘めていた。そんな彼の家に転がり込んできた少年、タクロウ。母親に置き去りにされ、誰にも心を許さない少年が、大魔人の前では素直になれた。束の間、親子のように暮らす二人。かけがえのない時を重ねるうち、それぞれが本当の家族と再会し、過去の痛みを乗り越える勇気を手にしていく…。


大魔人をアントニオ猪木さん、その別れた妻、芳子を石田さんが演じます。「人には必ず人格を形成する核があります。その核さえわかれば、支離滅裂のような言動や行動にも一貫性が見えてくる。でも、芳子の核がまったく見えてこない。少しも理解できないの」。


しかしそこで閃きます。芳子は過去の傷によって自分が少し壊れていることに、気付いていない。普通の人間だと思って生きている。そのアンバランスさこそが、彼女の『核』なのだ。石田さんの迷いは晴れました。代わりに、なんて複雑で難しい役だろうと頭を抱えます。

 

「芳子の矛盾や混乱を隠して、あくまで普通の人として演じなくちゃいけない。彼女自身、無自覚なんだから。でも時々、狂気がうっすら透けて見える…。最後までその異常さに気付かず観る人もいるかもしれないね」


そんな芳子と、大魔人との対比が印象的です。すべてを包み込む優しさを持ち、穏やかで物静かな大魔人。決して口数の多くない彼がポツリとこぼす言葉には、重みがあります。初主演とは思えないほどの存在感で、猪木さんは監督やスタッフ、キャストを圧倒しました。石田さんも「猪木さんは凄い!」と大絶賛。


「すべてを投げ出し、自分を空っぽにして本番に臨んできた。リラックスと集中力、彼の精神状態は凄すぎます。最終的には演技すら超越し、無我の境地に達していました。猪木さんから学ぶことはとても多かった。彼のこんなに柔和で優しい表情は、きっと誰も見たことがないはず」


最後に…。石田さんには秘密裏に進めてきた計画があります。

 

「20年間いろんなこと我慢して、努力して、全精力をかけてきた。その夢がやっと叶いそうなの! 何かって? それは来年のお楽しみ(笑)」


石田さんの瞳の奥には、覚悟を決めた人間だけが持つ、力強い光が宿っています。
 
 
『ACACIA —アカシア—』


監督・脚本/辻仁成 出演/アントニオ猪木、石田えり、林凌雅、北村一輝、坂井真紀、川津祐介他 6月12日(土)より角川シネマ新宿他にて全国順次ロードショー

© 『ACACIA』製作委員会

 

女優/石田えり
いしだ・えり 1960年熊本県出身。『遠雷』(80)、『嵐が丘』(89)、『華の乱』(91)、『釣りバカ日誌シリーズ』(87-94)等で日本アカデミー賞ほか多数受賞。近年の出演作に『美しい夏キリシマ』(04)、『サッド ヴァケイション』(07))、『クローンは故郷をめざす』(09)等。 公式HP : www.eriishida.com


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