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芸能人インタビュー

人生は生涯、探究心を持ち続けるものなんだね。僕がまだ自分を探し続けているように 2011.03.22
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人は生涯、探究心を持ち続けるものなんだね。
僕がまだ自分を探し続けているように…

 

「俺は130歳まで生きるよ。だから今、ようやく折り返し地点なんだ」と、早くも適当発言。もはやどのジャンルにも当てはまらない、独自のポジションを築き上げた高田純次さん。『芸能界一の適当男』の異名を持つ彼が、64歳にして映画初主演を果たした。

 

■「適当って何だ!?」世間のニーズと葛藤する男

 

 「四十肩で、肩が上がらないんだよ。もう、痛くってさ」
 その日、彼のスケジュールはメディアの取材で埋め尽くされていた。前の取材を終えると、急いで煙草に火をつける。ほんの少しの休憩時間。「面白いよなぁ。60歳過ぎても四十肩って言うんだから」と笑いながら、こちらに親しげな目を向けた。この独特な雰囲気で、周囲の人々の肩の力を抜いてしまうのだ。
 『芸能界一の適当男』という異名を持つ高田純次さん。「いや、そんなつもりは全然なかった」と否定するが、その自由な生き方に憧れる人は多く、精神科医の和田秀樹さんは、彼の適当ぶりを分析・検証までしたほど。芸能界においても高田さんの人気は根強い。

 

 そんな彼は、自分がどこに向かっているのかわからないと言う。

 「こうやって取材を受けると、インタビュアーに『肩書きはどうしましょう?』ってよく聞かれるのよ。自分でも即答できないよね。僕は自分の行動や言動を、誰か一人でも面白いと思ってくれたらいいな、と思ってる。かといってお笑い芸人じゃないし、噺家でもないから、10分のコントも一時間の落語も出来ない。まぁ、依頼もないんだけどね。前、『肩書きは舞台俳優で』って言ったことがあるんだけど、ダメだったみたいね。アッハッハ」

 

 ひとしきり笑うと、ふと真顔になった。

 

 「何の武器もなく、この世界で生きてこられた。それはラッキーだけど、大きなハンデ

でもある。このままの生き方で良いのか…。今『適当男』って言われてるけど、僕自身は何も『適当にやろう!』と意識して生きてきたわけじゃないんだよ」
 『適当』が定着した途端、その言葉に翻弄され始めた。世の中にそう認知されたからには、やること為すことすべて適当でなければ…世間のイメージを裏切ってはいけない…と思うと、適当の定義がわからなくなってきた。「計算した時点で、適当ではなくなっちゃうからね。難しいのよ。もう、本当に難しい」

 テレビのディレクターに、番組の主旨も示されぬまま、「じゃ、いつも通りテキトーな高田さんで」と言われ、困ることもしばしば。
 適当だと思ってやってみたことが、適当の枠をはみ出して怒られることも…。
 「日々、勉強だよね」と、高田さんは頷いた。

 

 

■気付けば出来上がっていた

『高田純次』というジャンル

 

 高田さんは、『天才・ たけしの元気が出るテレビ!!』('85~'96)において人気を得る。彼の奇抜な行動と絶妙なコメントはお茶の間を爆笑の渦に叩き込み、『高田純次』の名を世の中に知らしめた。以後、彼はバラエティ番組を中心に活躍中だ。

 しかし、彼の本業は『役者』である。

 若かりし頃は宝石デザイナーだった高田さん。しかし、いつの間にか劇団『東京乾電池』のメンバーとして舞台に立っていた。
 今でこそ人気劇団だが、当時は柄本明さんら三人のみ。高田さんはアルバイトをいくつも掛け持ちし、寝る間も惜しんで働いた。そして妻子を養いながら芝居の稽古に没頭―。

 

 きっかけは、六本木『自由劇場』で上演された芝居『マクベス』との遭遇。当時はまだ小劇場の存在は珍しく、舞台に立つ役者や、観客たちの異様な熱気にすっかり当てられた。どうしようもなく惹き付けられたのだ。

 高田さんは、安定したサラリーマン生活をあっさり捨てた。

 「あまりこだわらない性格の僕が、芝居に執着したのは珍しかった。ひと旗上げるぞ!って気負っていたわけでもないんだけど…今考えても不思議だよ。ただ、面白そうだなぁと思ったんだ」

 自分のわがままで、明日もわからぬ浮き草業に足を突っ込んだのだ。過酷な日々も、「何としても家族を食わせていく」という半ば意地のようなもので乗り切った。そして何より、芝居が楽しくて仕方なかった。
 「面白いことをやろうって、劇団の連中と熱く語ってさ。その延長線上にバラエティ番組があったんだ」
 活躍の場が拡がった後も、一瞬一瞬に全力を尽くしてきた。その結果、気付けば『高田純次』というジャンルが確立されていたのだ。野心とは無縁の彼にとって予想外のことだ。
 「行間を縫うように生きてきたのさ…肝心の『行』をすっ飛ばしてね。そしたら、自分でも良くわからない位置にいたんだ」

 

 

■64歳にして初主演!これまでに見たことのない高田純次

 

 そんな高田さんに、『行』を読み上げるときが訪れた。芸能生活40年目にして、映画初主演を果たしたのだ。
 少子高齢化の波に呑まれた町に、昔の活気を取り戻すべく、還暦を過ぎた住人たちが一致団結する人情喜劇映画『ホームカミング』。

 第二の青春群像劇とも言うべき本作は、個性豊かでユニークな面々が勢揃い。高田さんは、定年まで勤め上げ、セカンドライフに期待を馳せる男・鴇田和昭を演じる。
 「鴇田は会社に人生を捧げてきた、真面目な男。なんで僕に白羽の矢が立ったのか未だにわからないよ」と、高田さんは実に不思議そうに首を傾げる。

 

 「撮影現場は、本当に毎日楽しかったよ。監督は、僕の好きなように演じて良いとおっしゃった。普段の僕とは違う表情を見せてほしかったのかなぁ。僕だけ突出したくなかったから、『高田純次』というこびりついた垢をこそげ落とすように(笑)、余計なものは削ぎ落として、ただその場に『居る』ことを心掛けた。大先輩の共演者の方々の中にそっとお邪魔させて頂いて。だから主演と言っても何もしていないんだよ。
 それに、会社のため、家族のために一所懸命生きてきた鴇田という男と、真正面から向き合いたかったんだ」

 

 スクリーンの中では、個性の強すぎる仲間たちの間で右往左往しながら、町興しのために奮闘する鴇田の姿が描かれる。さらりとしながらも、奥行きのある芝居には、劇団出身の役者としての実力が光っている。
 「もし高田純次ではなく、鴇田として観てもらえたら、これほど嬉しいことはないね」

 真直ぐな瞳で熱く語った直後、「ライバルの高倉健さんを追い越しちゃったな~」とまたもや適当発言。
 「このままで良いのか…」と悩む本人とは裏腹に、高田さんは不変的な存在である。

 

 

タレント/高田純次

 

【プロフィール】

たかだ・じゅんじ 1947年東京都生まれ。東京デザイナー学院卒業。'77年に劇団『東京乾電池』入団。その後、タレントとしてもマルチな活躍を見せる。テレビ、ラジオ、映画と幅広く活躍。近年、発言の「適当さ」「無責任さ」が評判となり、芸能界においても多く支持されている。

 

 

 

『ホームカミング』
定年退職を迎え、第二の人生をスタートした鴇田。彼の町は少子高齢化の波に押され、すっかり活気を失っていた。昔の活気を、何より自分自身の情熱を取り戻すべく、鴇田は新たな仲間と共に町興しのお祭復活運動を始める。その想いは、余生を憂える老人たち、また若い世代をも変えていく―。

 

■監督/飯島敏宏 

■出演/高田純次、高橋惠子、麗奈、秋野太作、黒部進、森次晃嗣、

堀内正美、木野花、桜井浩子、竜雷太 他 

■109シネマズグランベリ-モ-ル他全国好評公開中


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