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現実とフィクションの狭間に陥った瞬間、僕は時空を超え、どこでもない場所に居た 2012.10.19
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現実とフィクションの狭間に陥った瞬間、

 

僕は時空を超え、どこでもない場所に居た

 

日本映画界を代表する名優・夏八木勲さん。ジャンルを問わずあらゆる役を演じ分け、人間としての生きざまが滲み出ているような重厚な存在感に多くの人が魅了されている。その夏八木さんが、東日本大震災から数年後の世界を描いた主演映画『希望の国』において新境地を拓いた。

 

■役を作ることは一切せず、作品世界の中でただ生きた

 

 「役者は仕事なので、芝居そのものを楽しいと感じたことはないなぁ」と、少し意外なことを言う夏八木さん。
 朴訥とした語り口、優しい眼差し、柔らかな笑顔。スクリーンで観た鬼気迫る姿とはまるで違う。どんな質問にもじっくり考え、自分の言葉で答えてくれる。
 「なぜこんなに長く続けてこられたのかと問われれば、やはり好きだからでしょうね。今まで体験したことのない役に出会いたいと、いつでも願っているんです」

 そんな夏八木さん、新作映画『希望の国』で主役を演じる。メガホンを撮るのは、現実の事件を題材にした作品の数々でタブーに挑み続け、新作を発表するたびに世界の映画祭を席巻してきた鬼才・園子温監督だ。
 「率直に『いい脚本を書いたなぁ』と思ったね。監督の想いが真直ぐに伝わってきた。同じ時代を生きる日本人として、ぜひ参加したいと思いました」
 ―東日本大震災から数年後。酪農を営む小野泰彦は、妻の智恵子と息子夫婦と共に、満ち足りた日々を送っていた。しかしある日、大地震が発生。それに続く原発事故により、人々の生活は一変した。原発から約20キロ圏内が警戒区域に指定される中、道路ひとつ隔てただけで避難区域外となる小野家。しかし泰彦は、自主的に洋一夫婦を避難させ、自らは妻と共に留まることを決意する…。

 

 

 園監督が実際に被災地で取材を重ね、見聞きした事実を基に描かれる本作。フィクションでありながら、人々のリアルな“情感”を克明に、鮮やかに描き出す。かつてない絶望の中でいかに生きるか―これは人間の尊厳を描いた物語だ。
 夏八木さん扮する泰彦の厳しさや激しさ、優しさは、大地の力強さそのものを体現しているようだった。
 「泰彦は芯の通った人物。自分の在り方がしっかりしていて、言葉も行動も揺らぐことがない。自分で考え、判断し、選択する。そこに迷いはないんだ」
 態度の煮え切らない息子の洋一に、一喝するシーンがある。「杭が打たれたんだ。逃げろ。逃げることは強さだ」―。未来のある若者を避難させる一方、自分はてこでも動かない。大地にどっしり根ざしたような生き方は、自然と共に暮らしてきた、酪農家という職業柄もあるのかもしれない。
 「今回は役作りという意識が全くなかった。園監督が作り上げたこの世界で“生きて”さえいれば、自ずと泰彦に繋がっていくという確信があったんだ。これまで色々な作品に参加してきたけれど、こんな体験は珍しいね」

 

 とても印象に残ったシーンがある、と目を細めた。「僕と女房役の大谷(直子)さんが、被災地の廃虚で踊るシーン。地面は一面雪に覆われて、夕日に照らされ、黄金色に、けぶるように輝いている。女房の足跡だけが残っている雪の上で、一緒に盆踊りを踊るんだよ。その状況に、うっ、と込み上げてくるものがあった。美しく幻想的な情景だが、そこは“舞台”ではない。現実と非現実の狭間で揺れ動き、僕は自分がどこで何をしているのかわからなくなった。その不思議で奇妙な感覚は今も胸に残っているよ」
 激しく力強い筆致と全編に溢れる詩情、そして心を捕えて離さない衝撃のラスト―。この秋、ぜひスクリーンで観てほしい一本だ。

 

 

■役者/夏八木 勲
なつやぎ・いさお 1939年東京生まれ。'66年『骨までしゃぶる』で映画デビュー後、同年『牙狼之介』で初主演を飾る。映画、舞台、テレビ、時代劇等で幅広く活躍。近年では『劔岳 点の記』『アンダルシア女神の報復』の他、『マイウェイ 12,000キロの真実』等の海外作品にも出演。公開待機作に『のぼうの城』。

 

●インフォメーション

『希望の国』
■ 監督・脚本/園 子温 

 

■ 出演/夏八木勲、大谷直子、村上淳、神楽坂恵、筒井真理子、でんでん他  

■ 10月20日(土)、新宿ピカデリー他にて全国順次ロードショー
(C) The Land of Hope Film Partners


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