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人生の達人

植物スケッチの達人 2008.03.03
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古屋のりこさん
『多摩川下流の植物(六郷川の河原の野草)』著者

 今回ご登場の古屋のり子さんは、昔から好きだった野に咲く草花をスケッチしてまとめ、『多摩川下流の植物(六郷川の河原の野草)』として2002年に自費出版されました。子どもの手が離れてから始めた植物のスケッチは、その後のライフワークとなっていきます。ただ好きだから、という気持ちで植物と向き合っていくうちに、人との出会いを通じて活動は広がっていきました。

子どもの親離れがスケッチを始めたきっかけに

 6年前、多摩川下流の植物をスケッチして一冊の本としてまとめ、自費出版された古屋のり子さん。初版の400部はすぐになくなり、その後も注文が続いたため増刷を重ねました。はじめは植物に関する専門的な知識はなく、絵の勉強もされたことがなかったそうですが、どのようにしてご自身の本を出版されるまでに至ったのでしょうか。
「植物のスケッチを始めたのは12年前です。きっかけは、子どもの手が離れ、何か新しいことを始めようと模索したことでした。子どもの頃、都会の空き地に咲いていた草花で楽しく遊んだことを思い出し、あちこちで目にした踊子草を探して、『尋ね花』(調べたい植物を一般に広く問いかける、情報紙等の読者のコーナー)に投稿したんです。それが大田区報に植物写真を掲載されていた方との出会いに繋がりました。そこから区内の植物を観察する勉強会が始まり、植物を覚えるために見た通りに描くようになりました」

人の言葉でやりたい事が見え、人との出会いで新しい始まりが

 子どもの通っていた学校で展示会が開かれた時、PTAのコーナーでご自身の作品を出展されたそうです。

 「反響は少なかったんです。でも一人の男の子が、『自分の周りに、こんなにきれいな植物があるのを知らなかった』と感想をくれました。その言葉を聞いたとき、自分がやっていることをもっと人に働きかけていきたいという思いが芽生えたんです」
その頃目にした“雑草のハガキを作ります”という新聞の小さなコラムが、新しい出会いを呼びます。

 「そのコラムは当時、三重大学で教鞭を取られていた木村光雄先生が出されたものでした。毎年初夏に行われる草刈りのあと、刈られた雑草の山があちこちにできます。これがすべて雑草紙になったら素晴らしいと思い、先生に手紙を出し、やりとりが始まりました。土手から雑草を採取しては鍋で煮て、小さな紙すきで漉き、ハガキを作りました。それが体験談として、先生の『雑草からの紙作り』という本に掲載されたんです。初めての体験に、非常に感動したのを覚えています」

好きなことを学ぶのは楽しい!明確になってきた自分の夢

 その後、先生が出されていた『雑草通信』や新刊の出版物に植物のイラストが載り、本づくりのためのスケッチへと続きました。同じ頃に新聞で自費出版図書館を知り訪れたところ、様々な植物の本を紹介してくれたそうです。
「その中で『鞍馬・貴船の植物図譜』(永井かな著)は私の心を捉えました。植物の細部まで正確に描かれた美しい線画。いつか私も一冊の本としてスケッチしたものを出版できたら、という気持ちを持つようになりました。主人の会社の社報に、“多摩川野草だより”を一年間、毎月連載で書かせてもらうことになったんです。季節の草花を採取し、スケッチしては詳しく調べる、ということを何度も繰り返しました。万葉集に出てくる草を取り上げたり、香りのいい草を探したり、父子草の名前の由来を調べたり…。それまでに学んだことをまとめつつ、絶滅危惧種や帰化植物の勉強もしました。草を覚える感動や楽しさから夢中で連載を続けていくことが出来ました」 

自分らしい作品を作り、野の花の美しさを広めたい

 草が自分に話しかけてくれるような気がするという古屋さん。おかしいでしょう? と笑います。

 「下手でも、話しかけてくるような絵を描いていきたいです。野草は育つ環境によって大きさや形、色がそれぞれ違います。そんな個性的なところがおもしろいんですよね。たとえ植物に興味がない人でも、絵を見た時に何か感じるものがあって欲しい。そしてその植物に興味を持ってもらい、何か聞かれた時に何でもわかりやすく答えられるようになるのが目標なんです」

 子どもの親離れから始まった“描くこと”が、次第に自分自身の自立に繋がったといいます。

 7年をかけて調べ、スケッチした356種の植物全てを網羅した本は2002年に完成。その後はさらにパソコンを学び、それを使用して植物をモチーフにしたイラストを作り始めました。何気なく咲く野の花を主役にした、自分らしい作品を作りたいという古屋さん。作品の一つ、からすのえんどうのかわいらしいイラストは、木村先生の本の表紙に飾られました。植物をよく観察してきた古屋さんならではの細かい描写、美しい色彩の作品は、見ていると心が和んでくるようです。

 「誰にでも夢があると思います。ちょうど子どもの手が離れる50代に、やりたいことをじっくりと考えたら、次はそのために費やせる時間をどう捻り出すかを考えることになりました。私はダメだからと気を散らしたり、諦めたりせずに好きなこと、心が慰められることを掘り下げていくこと。それを60代に繋げていくことで、夢がパーッと開けていったような気がします。遊び心を持ちながら、野の花を広めたい。そして人との出会いを大切にして、夢を一歩一歩育てていきたいですね」

 そうおっしゃった古屋さんの笑顔はとびきり輝いていました。

PROFILE

古屋のりこさん
『多摩川下流の植物(六郷川の河原の野草)』著者

3人の子どもの育児が落ち着いた後、以前より好きだった植物のスケッチを始める。仕事の合間に描き溜めた350種余りの作品をまとめた『多摩川下流の植物』を2002年に自費出版(好評のため現在は品切れ)。ライフワークとして多摩川下流の植物の研究や保全、子ども達に植物について教えるなど幅広く活動。現在は植物をモチーフにしたイラストをパソコンで制作している。『多摩川の自然を守る会』会員。

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