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「自己表現」だったステンドグラス。 2008.04.27
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多くの人に伝え広げることが、歴史への恩返し

ステンドグラス作家 草間 幸子さん

 今回ご登場いただくのは東京にアトリエを構える、ステンドグラス作家の草間幸子さん。「黒に対して、色がある。そのコントラストが昔から好きなんです」と草間さんは穏やかな優しい笑顔を浮かべます。ステンドグラスは光と影とのコントラストが美しい、まさに『色』と『黒』とのコラボレーション芸術。「ステンドグラス作家」という道を選んだ経緯や、ステンドグラスの魅力を伺いました。

ステンドグラスとの出会いその美しさに魅せられて…

 東京都、四谷。大通りから少し脇道に逸れた閑静な住宅街に、『アトリエ・ルプランス』はあります。ステンドグラス作家である草間幸子さんは、このアトリエで生徒たちにステンドグラスの伝統技法を指導しています。

 「昔から絵を描くことが好きで、学生時代のノートの端っこには絵がみっちり」

 武蔵野美術大学に在学中は、油絵を専攻していました。卒業後、そのまま大学の美術史研究室に副手として勤務します。そこで著名な先生方から直接美術史を学ぶ機会に恵まれた草間さん。そんな中でステンドグラスと出会ったのでした。

 「ステンドグラスはヨーロッパの教会にあるものとして知られています。中世においてステンドグラスは、聖書を読むことが出来ない人たちのための『絵解き聖書』でした。宗教とは切っても切り離せない関係です」

 ステンドグラスは光の芸術。反射光で見る他の芸術とは異なり、太陽の光が差し込んで初めて光り輝く存在です。

 「光がないと生きない。でもひとたび光を受けると、神聖なまでの美しさが生まれます。自然と一体となった輝きは、時間と共に天井や壁を移りゆきます。背景が紅葉だったり若葉の頃だったり、季節ごとに刻々と違った表情を見せてくれるの。私だけの力ではなく、大自然との共同制作です」

発想の転換で、身の周りの全てを意味のある大切なものに変えた

 子ども時代は辛かった、と草間さんは振り返ります。

 「父の仕事の関係で、とにかく転校が多かったんです。幼稚園を2回、小学校を3回、中学校を2回、高校を2回。そのせいで辛いことも多かった。その分、お絵描きのような一人遊びにのめり込んだのかもしれません。庭の石や土なんかをひっくり返して、いろんな空想や想像を楽しんでいました」

 その頃は「なんて不幸な星のもとに生まれたんだろう」と自らの人生を嘆いていましたが、あるときから考え方を変えたのだそうです。

 「母が、楽しかったことや戦争の話など、自分の色々な体験を話してくれました。私もそうしようと子ども心に思ったんです。自分が体験したことを、いつか自分の子どもに聞かせてあげよう、そうすれば今感じている辛さも悲しみも、無駄にはならないから。そう考えると、いろんなことが前向きに受け止められるようになりました。経験が積み重なり、自分の引き出しが増えていくことが楽しくなってきたんです。そういう体験や空想癖や身の周りのさまざまなものたちが全て、作品創りに活かされているのでしょうね」

 そして草間さんは、24歳の頃にフランスの国立高等工芸美術学校に留学し、ステンドグラスを学ぶことになります。

 「初めての海外も、しょっちゅう引っ越していたから意外と平気。フランスでのあらゆる経験や出会いが、私の人生においてかけがえのない宝物になりました」

歴史があってこその現在。未来のために過去を振り返る

 フランスの学校では、伝統技法と修復技術を学んだ草間さん。最近そのフランスでは、学生が修復技術を学びたがらなくなってきているのだそう。

 「国の文化財を守っていく修復技術を勉強するよりも、自分の作品を創りたがるそうです。でもその基本や基礎となる技術は、全て古い作品から学ぶものなんです。恩返しの意味も込めて、私たちはその伝統技法を人に伝えていかなくてはいけない。私たちの作品も後生に、誰かが修復してくれるかもしれないでしょう?」

 中世の職人たちの息遣いを感じながらステンドグラスに携わっている草間さん。そんな草間さんが追求し続けているテーマは、、『時』です。

 「泉から湧き出た水が川となって、大海に流れていく。それが蒸発して雲となり、雨になって再び地に染み込んでいく… そのサイクルが長い間ひたすら繰り返されていく。それと自分の人生が重なるときがあるの。人間にも自然にも、ステンドグラスにも歴史や『時』がある。それを作品に刻んでいきたい。作品には、私の前世や歴史やDNA… 全てが顕われているような気がします」

ステンドグラスの伝承者を創る。作品を創るだけが仕事ではない

 日本ではステンドグラスは、学校や駅などの公共施設で良く用いられます。草間さんの作品も、この3月で統廃合になった箱根町立温泉小学校に納められています。

 「閉校前にその小学校に呼ばれて講演をしたときのことです。子どもたちが『帰るときに、夕日に照らされたステンドグラスの光をランドセルに浴びるのが嬉しかったです』とお礼を言ってくれました。作品は自分の子どものようなものだから本当に嬉しかった。校舎はそのまま幼稚園と保育園になり、引き続き子どもたちに親しまれることになっています。教室の生徒の中にも、実際に作品を教会や母校に寄付している方がいます。反響が返ってくるとやっぱり創作意欲に繋がりますよね」

 70歳過ぎの方が老眼鏡を二つもかけて熱心にガラスに絵を描く姿、若い方が出産後も育児の合間を縫って教室に通う姿を見ていると、趣味を越えて突き動かされる何かがあるようです。

 「ステンドグラスの素晴らしさをもっと広げ、それを伝えていく人がもっと増えてほしい。それが今の夢です」

PROFILE
草間 幸子さん

フランス国立高等工芸美術学校ステンドグラス科でルネ・ジルー教授に伝統技法を学ぶ。帰国後、アトリエ・クサマ設立。著書に『ステンドグラスの絵付け技法』(共著、美術出版社)、『伝統に学ぶステンドグラス1』(日貿出版社)がある。日本グラスクラフィティング協会講師などを経て、現在は作家として活動。また、ステンドグラスの伝統技法を伝え残す活動をしている。作品制作、教室に関するお問い合わせは、 。03-3999-1293 

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