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人生の達人

主婦作家 2009.04.25
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【人生の達人】一覧はこちら
 

とらわれず、こだわらない。肩の力を抜き、
二度とない『現在』を思いっきり楽しむ!


2007年、50代女性で初めて、日本ミステリー文学大賞新人賞に選ばれた海野碧さん。受賞作『水上のパッサカリア』(光文社)は文章力・描写力・人物造形力など、あらゆる面で選考委員たちを圧倒し、多くのメディアで絶賛されました。そんな海野さんですが、本格的に小説に取り組み始めたのは50歳を過ぎてから。「小説を書くことは私の一部であって、全部ではありません」。主婦業と執筆業を兼任する海野さんに、お話を伺いました。
 
小説は、自分のための娯楽
書き始めるといち読者に…


「賞をいただいても、長年の習慣は変わりません。今も主婦業と暇人業が中心の生活ですよ(笑)」


50代女性で初めて、日本ミステリー文学大賞新人賞を獲得するという快挙を成し遂げた海野碧さん。以来、傑作を生み出し続け、いずれも高い評価を得てきました。そんな才能溢れる海野さんですが、「私は、自分のことを本格的な作家だとは思っていないんですよ」と、意外なことを言います。


「『海野碧』は私の一部であって、全部ではないんです。書くことは、読書や映画、音楽や絵画、果ては犬や猫と遊ぶことと同じように、毎日の楽しみのひとつなんです。自分を楽しませるための娯楽なんですよ。だから、書き始めたら止まらない、迷わない。ひたすら一直線に突き進む、幸せな書き手だと思いますね」


受賞作の『水上のパッサカリア』(光文社)は、語り手の男が、湖畔の一軒家で犬と静かに暮らしている風景から始まります。同居していた女性の事故死を境に、男の秘められた過去が明らかになっていく…。淡々と、しかし丁寧に綴られる男の日常。物語の序盤から、「これから何が起きるんだろう…」と想像力を掻き立てられます。


その確かな筆力は、選考委員のひとりである作家・北村薫さんに、「読後、思わず『パッサカリア』のCDを探し、かけてしまった」と言わしめたほど。読み手を惹き込む力強いストーリーは、いったいどのようにして生まれたのでしょうか。


「私はバロック音楽が大好きで、朝から晩まで、CDやMDで流しっぱなしにしているほど。その日も、買ったばかりのヘンデルのチェンバロ組曲第七番のCDを聴いていました。そして最終楽章のパッサカリアを耳にした途端、小説のラストシーンが頭の中に浮かんだんです。とてもはっきりと! …それがこの物語の生まれたきっかけです。ヘンデルに感謝しなくちゃ(笑)。私の場合、だいたい、タイトルと冒頭のシーンが先に、頭にぽこっと浮かびます。それから二、三日すると大まかなアウトライン、そしてラストシーンが浮かんでくるの。そこでさっと書き出す。あとは自然に、ストーリーが動いていってくれます。この先どうなるのかしら、どんな展開かしら、と自分でもわくわくするんです」
 
『暇つぶし』が名作を生んだ!
満を持して、花開いた才能


 
幼い頃から想像の世界に浸る歓びを知っていたという海野さん。作家・海野碧が誕生するまでには、どのようなストーリーがあったのでしょうか。
「晴れた日は外で活発に遊び、雨の日は家で本を読んだり絵を描いたり…他の子と変わらない、ごく普通の子ども時代を送りました。ただ、小学校に上がる頃には私専用の本棚ができ、子ども向けの世界文学全集や漫画がぎっしり(笑)。父が映画好きで、映画館へもしょっちゅう連れて行ってもらいました」


自分でも何か書いてみたいと、初めて思ったのが中学生のとき。それから詩や小説を書き始め、高校に入ると、地元・長野の短歌結社に所属していた母親の勧めで、短歌を書くように。そして、20代という若さで、女流新人賞と群像新人文学賞に選ばれます。


海野さんにとって、『書く』ことは生活の一部。結婚し、専業主婦になってからも、家事や子育ての合間に、短編小説や短歌、エッセイを書き続けました。
しかし、40代の初め頃、ぱったりと小説を書くのをやめてしまいます。
「小説を書くことへの興味を失ってしまったんです。冬眠状態ですね(笑)。その状態が十年ほど続きました」


転機が訪れたのは、50歳を過ぎた頃。


「夫が仕事で海外赴任、同時に一人娘も大学に進学して手を離れ…。一人になった私は、母が住む故郷へ戻ることにしました。でも、友達からも離れてしまった田舎暮らしは、退屈で退屈で…。足の不自由な母の介護と、家事、ペットの世話以外は、丸ごと自分の時間でした。あまりにもやることがなくて、暇つぶしに、また小説でも書いてみようかしらって思ったの。それも、できるだけ長く楽しめるように長編で、もともと好きだったミステリー風にしてみよう、って。そう思って気軽に書き始めたら、もう面白くて面白くて、すっかり病み付きになってしまったんです。もっと前から書き始めれば良かった、と後悔するぐらい夢中になりました」


これまでの空白を埋めるように、次々と溢れ出る言葉たち。作品が完成したら、インターネットで公開するつもりだった海野さんですが、ある『運試し』を思い付きます。文学賞に応募してみることにしたのです。
その作品が他の候補作を圧倒し、選考委員の満場一致で賞を獲得。そのとき、海野さんは50代半ばでした。
 
人生をいっぱい楽しみたい!
その一語に尽きますね(笑)
 

ハードボイルドなミステリー。そんな雰囲気の漂う作品群ですが、海野さん自身は『ジャンル』というものを明確に意識しているわけではありません。
「自分が一番読みたいと思う小説を書くだけです。SFや恋愛小説だって、その気になれば何でも書けるつもりでいます」と、自信を滲ませます。書きたいものを好きなように書く。そのスタイルは、海野さん自身の生き方を反映しているようでもあります。
「私はもともと頑張るのが苦手な怠け者。ものごとにこだわないのが、唯一の取り柄です。何でも好きなことをのんびりと続けて、飽きたらやめればいい。いつか必ず終わりの日が来るんだから、そのときに笑ってさよならを言えるように、今を思いっきり楽しみたい。今が一番幸せ、といつでも思えるように、これからも生きていきたいですね」

 

PROFILE

 

海野 碧さん/作家
長野県生まれ。20代で女流新人賞と群像新人文学賞に選ばれる。『水上のパッサカリア』(発行/光文社)で2007年、第十回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞し、デビューを果たす。他に『迷宮のファンダンゴ』『真夜中のフーガ』(共に発行/光文社)など。『水上のパッサカリア』と併せて三部作になっているが、それぞれ単独でも楽しめる。新刊に『アンダードッグ』(実業之日本社)。

 

『アンダードッグ』海野碧 著


¥1,700(税別) 発行/実業之日本社
海野碧さんの新作。書き下ろし長編サスペンス!

 

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