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人生の達人

児童作家/上條さなえさん 2010.10.29
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過去の苦しみは私の原点…どんな状況においても、幸せや救いを見い出して生きていく

 

「私の子ども向けの本の多くは、食べ物にまつわる物語なんです」
小学校教員を経て、児童文学作家となった上條さなえさん。37歳で作家デビューを果たして以来、60冊以上もの児童文学を手掛けています。作家活動の傍ら、埼玉県児童館館長や教育委員長など、子どもに関わる活動に従事してきました。
 その中で、いじめを苦に自殺する子どもが絶えないという、哀しい現実に直面します。「死にたい…と言う子に、『二日間、食べるのをやめてごらん』と言うんです。すると三日目には、『死にたい』が『食べたい』になる。食べることは生きること。食べて笑って、幸せになってほしい」
 闇の中にいる子どもたちのために、自分には何ができるのか。上條さんは悩み抜いた末、決意します。夫や我が子にすら隠し通してきた秘密―自分の過去を世間にカミングアウトすることを…。

 それは上條さんが小学校五年生の頃でした。父親の事業の失敗により、一家は離散。上條さんはたらい回しの末、父親に引き取られます。家はなく、池袋や大塚のドヤ(簡易宿泊所)を渡り歩く日々。離ればなれになった母や姉、友人が恋しい。学校へも行けず、いつもお腹を空かせ、ぼろぼろの衣服をまとい…。酒に溺れる父親に代わり、10歳の上條さんがパチンコで生活費を稼いでいました。父親を心から愛していた上條さんは、養護学園に入ることになったとき、深い孤独と虚無感に支配されます。
 「捨てられた」…。その体験は、幼い少女から笑顔を奪いました。「勉強ができて、帰る家があって、今日食べるものに困らない。子どもにとって当たり前の生活は、親の愛情と、並々ならぬ努力によって成り立っているんです。その幸せに気付いて、いじめに負けないパワーにしてほしい」
 自伝『10歳の放浪記』('06)には、そんな願いが込められています。当時の感情の追体験はあまりに辛く、涙を流しながら、震える手で書きました。全国から届く「今すぐ親にありがとうと伝えたい」という言葉に、報われる思いがしたと言います。書き続けることが自分の使命なのだと、改めて感じました。
しかしその一方で、厳しい不況の波にさらされる出版業界…。仕事と向き合うことに、少し疲れていました。

 そんな中、ある映画と出会います。養子として、韓国からフランスに渡った女性監督の実体験が基になった『冬の小鳥』。父親に捨てられ、養護施設に預けられた9歳の少女ジニが描かれています。同じ境遇の監督―ジニとの出会い…。涙が止まりませんでした。自らの原点を思い出し、励まされた気がしたと言います。
 「どんなに苦しくても書き続けること。自分の本によって、少しでも子どもたちの心が楽になれば…。書くことによって、私自身も救われているんです」

 

上條さなえさん PROFILE (かみじょう・さなえ)
'50年東京都出身。児童文学作家。『さんまマーチ』『コロッケ天使』、自身の子ども時代を綴った『10歳の放浪記』等、著書多数。執筆や講演を通じ、家族の触れ合いの大切さを訴える。


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