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編集部だより

山歩き/第2話  「山の頂上であたたかいコーヒーを。」 2008.03.14
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第1話のつづき

 さて、そろそろ1週間。あたたかく見守ってもらったようなので、そろそろ山に登ろうかと思う。

 季節は夏の終わり。とはいえまだ少し暑い。湿った熱を帯びた空気が身体にベタベタとしみついて、息苦しさを感じるほどだった。こんな日は山に行くべきではない。春は花粉、夏は日射し、冬は雪…。私の山歩きを阻む何かはたくさんある。

 その日は某県の比較的低い山を選んでいた。駅から歩けることをうたった書籍を手に、そこに掲載されている初級という文言を信じ、地図の通りに歩く予定だった。ゴール地点には温泉。そこで冷えたビールと目論んでいた夫婦ふたり。すべての問題は、登山道入り口から始まっていたのだが、まだ二人ともそのことには気づいていない。

 登山道というのは、おそらく誰か先人たちが(勝手に)切り拓いたのではないかと思われる。そのため、登山道の入り口も整備されていないことが多い。今回の入り口がまさにそうで、それくらい、それは民家だった。私の数十年が間違っていなければ誰かの家だ。「これ人の家だよね?」と訝しがる二人。マップで確認するが間違っていない。とにかく進むしかあるまい。私たちは敷地を通り(不法侵入ではないのか?)、山に入る。数分とたたないうちに、道らしいものが消えた。私たちは再びマップを確認。何度も見た。裏ページも念のために見た。しかしどうしてもあるべき道が見当たらない

 水か?水に浸すのか?それとも火か?火であぶると浮き出るのか? 

 山に入って数分。遭難した。

 その時。「どうした?」と声が聞こえた。私たちは木の上にいる人に気づいた。

 皆さんすでにご存知かも知れないが、山は都心に比べて圧倒的に木が多い。当然だが、都心部に比べれば人が木の上にいる確率も段違いである。その人は、ベルトのようなもので身体を固定し木にしがみついていた。おそらく木に住む人なのだろう。安全のためにヘルメットも装着していた。

 山の人とはあまり会話をしたことのない私だが、彼は快く道を教えてくれた。「木々の葉がずいぶん落ちているから道がわかりにくくなっている。気をつけるように。地図は読めるよね」と。

 山の人の言う通り、山はすでに道を隠していた。誰にも会わないところがまた二人を不安にさせた。それでも我々は何とか頂上に到達。

 すでに数名の熟練アルピニストがいた。即席ラーメンをすする人、タオルで汗を拭う人、写真撮影をする人。皆思い思いに頂上を堪能していた。誰かが、誰に言うともなく「富士山だ」と低くつぶやく。我々もその雄姿を確認した。人がいるという安心、持参したあたたかいコーヒー、頂上から見える眺望。

 これだから山は素晴らしい! この感動を胸に、我々は山を下る。

 不思議はそこから始まった。 つづく


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