アクティブなシニアライフを応援する情報サイト

素敵に年を重ねる’あなた’のための応援サイト
Home

文字サイズ変更

  • 標準
  • 大

はいからCHANNEL インターネットTV
はいから大人の部活
遺言アプリ100年ノート


メディアのご紹介

  • 季刊誌はいから
  • 新聞はいからエスト

編集部だより

読書感想文2 2008.05.02
Share

わたしは読書が好きで、最近特にハマっているジャンルはミステリーです。
宮部みゆきを始めとして、東野圭吾や伊坂幸太郎など、ミステリーを書ける人は本当に凄いと思います。
頭の中はいったいどうなっているんだろう?
ミステリーを読んでいると必ず一回は度胆を抜かれる瞬間があって、そういうときは心の底から感服します。
最近読んだもので衝撃を受けた本の感想を述べます。
 
『冷たい校舎の時は止まる』辻村深月(つじむら・みづき)/著
 
これは著者のデビュー作で、メフィスト賞を受賞しています。これもミステリー(少しホラー要素が混ざります)なんですが、作者がとても若い。27です。設定や物語の背景は、確かに「ああ、若くなきゃこういうの書かないだろうな」と納得させられます。が、その若さは個性にもなっており、作品の面白さを少しも損なっていません。こんなに若い方がなぜこんなに面白い本を! とまずそこで第一の衝撃です。あらすじを少し。
 
ある雪の日、仲の良い8人の高校生が校舎に閉じ込められた。
どうして学校から出られないのか、なぜ他の生徒や教師は学校に来ないのか。
鍵もないのに開かない扉、繋がらない携帯電話、動かない時計、一人足りない写真…。
そして、二ヶ月前に屋上から飛び下り自殺をした生徒の顔と名前が、どうしても思い出せない。
この8人の中に、その自殺者がいる。他の7人は、どうやらその人物の頭の中に閉じ込められてしまったらしい。しかし当然ながら誰も自殺をした覚えはない。
チャイムが鳴るごとに、本人にそっくりのマネキンを残して、身の毛のよだつような恐ろしい体験と共に一人ずついなくなっていく。
8人を閉じ込めている『ホスト』(主)は一体?
自殺したのは、誰?
 
と、まぁあらすじからすでにかなり謎めいた感じになります。本の裏表紙のあらすじがだいたいこんな感じだったのですが、これをどう収拾つける気だ!?とそれが気になって、購入することにしました。
 
読み進めていくうちに、「面白いか面白くないかは、オチで決まるぞ…」ということに薄々気が付いていきます。なぜかそっちの方にはらはらしていたのですが、心配無用でした。
 
前半がだらだら長かったり主人公の性格が魅力的でなかったり、おまけにその主人公の名前と作者名が同じだったりというマイナス面(笑)もありましたが、それらを補って余りある展開+他の登場人物の魅力。最後までオチが読めなかった。佳境で発生する大どんでん返しが、また凄い。読者が疑問に感じたことの種明かしはもちろん、読者が素通りしたエピソードの種明かしまで存在するから驚きです。


誰かがいなくなった直後にはチャイムが鳴り、いなくなる際にマネキンを残していく、というその設定も風変わり。


8人の登場人物の視点で物語が語られ、その中でそれぞれの心の闇が浮き彫りになっていきます。閉じ込めているのは誰なのか、死んだのは誰か、と誰もが疑心暗鬼に陥りながらも、誰が死んでいてもおかしくないし、誰が死んでいてもおかしいというパラドックスに嵌ります。ちなみに読者もそこに嵌ります。
誰もが怪しく見えるし、誰もが『ホスト』には見えないんです。
とにかく、今までに出会ったことのないような小説に出会ったと思いました。
 
読み終わった後にあまりに衝撃を受け、母に無理矢理読ませました。
大のミステリー好きで、特に宮部みゆきフリークという王道を進み、ファンタジーが嫌いな母は、「そんな邪道なものは読まない」と頑なに拒んでいたのですが、わたしが少しあらすじを話すやいなや本を奪い取って即座に読み始めました(何だよ)。
 
そして二日ですべて読み終えた母も(分厚い上に上中下の三巻セット)同じく衝撃を受けたようでした。
「今の若い子はこういう話を書くんだ」と、まずカルチャーショックを受けたようです。そう、「異文化に触れた」感覚になるんです。理解の範疇を越えた独特の世界観。
ゲームっぽい感じ、と言い換えられるかもしれません。
ある特定された世界があって、制限されたルールがあって、いろんなピースを集めて…。


最初は、ちょっと期待外れだったかな、と不安になったのですが、中盤からラストにかけての巻き返しの凄いこと。
すべての種明かしの後に、『あれはこうだったんだ』『そういえばあの人は最初からああだった!』『あれはこれだったのかぁ〜!』と納得の嵐。
伏線とすら気付かなかったような伏線が、あとからどんどん綺麗に収束されていくんです。お見事のひとこと。

 

一人の潜在意識の中に人々を取り込んでしまうという超自然現象の設定なので、「何でもアリのこの展開はどうなんだ?」という意見もあるみたいです。けど、そんなことはどうでも良いんです。面白ければいいんです!!! ただ、この手の実例はけっこうあるらしいです。いわゆる神隠しと言われる事件です。


真相はよくわからない上にうろ覚えですが、こんな話があります。
学校の遠足で洞窟の中に入っていった子どもたち数十人と教師が出てこなくなった。洞窟は行き止まりなので、いなくなるわけがない。しかし、煙のように消えてしまったのだ。たった一人だけを残して…。その子どもはなぜか心神耗弱状態で、「みんなは、もうそろそろ帰ってきます…」と言う。そしてその言葉通り、いなくなった生徒数十人が散々捜したはずのところに現れたという。みんなも神経が衰弱しており、いなくなった間どこへ行っていたのか、記憶が定かではない。一人だけ消えずに残っていた子どもも、口を閉ざして語ろうとしない…。曖昧ですが、確かこんな話でした。凄いですね〜。

ともかく、読み終わった後に頭がフワ〜っとなって、感想を述べるのが難しい物語です。うちの母も感想を述べるのに苦労していましたが、熱に浮かされたようなおかしな状態になっていました。
 
中高年世代だったら、賛否両論に分かれると思います。が、ぜひぜひ一読してほしいですねぇ。


Back PageTop

  • 会社案内
  • プライバシーポリシー
  • ご利用規約
  • お問い合わせ
  • 広告掲載のご案内