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編集部だより

マイ・バイブル 2008.07.25
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わたしは小説が大好きです。年と共に少しずつ嗜好も変わり、今一番好きなジャンルはミステリーです。おそらくこれからも変わり続けていくでしょう。
 
記憶にある限りで初めて続けて読んだ小説は、おそらく折原みと。中学校三年生でした。
当時わたしは、名前を知らぬ者はないという素行不良の問題児(女子)と仲が良かったのですが(友達には優しい子だった)、その子が折原みとのシリーズを揃えていて、半強制的に「これは絶対に読むべきだ!」と貸してくれたのがきっかけです。
今思うとちょっと微笑ましいエピソードですね。
それまで漫画で育ってきたわたしにとって、折原みとは漫画の延長線だったような気がします。
 
本格的に小説を読み出したのが、高校三年生のとき。
読書好きと公言して憚らないわたしですが、実は読書デビューは遅いのです。
 
高三のときに読みふけっていたのは、知る人ぞ知る、『ブギーポップ』シリーズです。
どうやってその存在を知ったのかはわかりませんが(誰かに聞いたのかな?)、今で言うライトノベルのジャンルです。当時はジャンルが色々と分かれているだなんて知りませんでしたが、それでも『若者向けの小説なんだな』と納得していました。
なぜなら、当時文字嫌いだったわたしでも、漫画のような感覚でさらさら読むことができたからです。
 
純文学などと違って、口語体で書かれたところが読みやすかったのでしょう。登場人物の口調や勢いまでがそのまま描写されたような文章でした。
今のケータイ小説はその最たるものではないでしょうか。
わたしはケータイ小説に反対だったのですが、それを入り口として若者を活字の世界へ誘ってくれるのなら、あながち悪いものでもないのかもしれません。
 
ともかく、このブギーポップシリーズにわたしは衝撃を受けました。
知らない方がほとんどだと思うので、ちょっと作品について説明します。
説明が難しい作品なんですが…。
おそらく今もシリーズの続きが出続けていると思うので、ここではひとまず第一巻の概要を述べます。
 
『ブギーポップは笑わない』上遠野浩平(かどの・こうへい)/著
 
高校三年生の竹田啓司は日曜日、同じ学校で一学年下の恋人にデートをすっぽかされてしまった。振られたのかと打ちひしがれながら帰宅する途中、街中で汚らしい身なりをした不審な男を見かける。
 
不審な男は頭に怪我をしているらしく血を滲ませており、通行人の誰もが気味悪がって彼を避けて歩いていた。男はついに道端にしゃがみこんで泣き始めるが、声をかける者は当然ながら誰もいない。
 
そこに、黒ずくめの衣裳に身を纏った筒のようなシルエットの、白塗りの顔に黒のルージュをひいた、道化師のような奇妙なやつが現れる。性別の判断もつかぬ道化師が不審な男に何かを耳打ちすると、男は泣き止んで立ち上がった。道化師は周りの傍観者たちを睨み付け、「困っている者に手を差し伸べないとは何ごとだ」とやはり男か女かわからない声で批判する。
 
そのうちに通報を聞き付けた警察官が二人現れ、不審な男を無理矢理連行しようとするが、その乱暴さに怒った道化師は、警察官たちを合気道的なものでのしてしまう。そしてひらりと風のように去っていった。不審な男も逆方向に逃げており、警察はどちらも捕まえることができなかった。
 
その一部始終を見ていた竹田は、唖然とする。その道化師は、奇怪なメイクや妙な格好をしてはいるが、間違いなくつい今まで待っていた恋人の、宮下藤花だったからだ。翌日学校に行くと、いつもの宮下の笑顔があった。デートの約束をしたことすら覚えておらず、昨日はずっと家にいたとのこと。彼女は二重人格なのか?
 
最先端の設備が整った、県立深陽学園高等学校を舞台に物語が展開。
そこに通う5人の少年少女が、ブギーポップという一人の人物とある事件について、それぞれの目線から物語を紡いでいく(竹田もその一人。あくまでその人物の主観から語られる)。
 
それぞれの登場人物の視点から物語を紡ぐという手法で、全ての物語が重なったときに、やっと全体の物語が浮かび上がってくるという構成。ところどころに伏線が張り巡らされてあり、全部読み終えないことにはすっきりしないというのが特徴。
 
今となってはわりと使い古された手法だと思いますが、本当に良く出来ているんです。読み進めていくとパズルのコマが一つずつ埋まっていくような快感があります。読み終わった後に異常な興奮に包まれました。この面白さがなかなか伝えられないのがもどかしいです。設定から世界観から何から何までツボでした。未だに好きな本です。
 
ジャンル的には学園モノのちょっぴりファンタジー、というものになるのでしょうが、いろんな伏線が張ってあって、最後の最後に謎が解明されるという点においては、ミステリーと言えなくもないのかもしれません。
ちなみにファンタジーとは言え、あくまでも舞台は現実世界に基づいたものなので、もしかしたらこういうことが本当にあるのかもしれないという身近さを感じさせます(わたしだけか?)。
その上で、ある一人の登場人物には「生徒が行方不明になった」というありふれた失踪事件としての側面しか見えていなかったり、物語の軸となる事件への関わり方が、登場人物によって違うところがより現実的で広がりがあります。
 
今いろいろと調べてみたら、この作者は今はライトノベルにとどまらず、講談社や徳間書店などの多くの出版社で作品を発表しているらしい。SFとミステリーの融合を試みた作品も多いそうです。ちなみに『ブギーポップは笑わない』は上遠野浩平のデビュー作ですが、オリジナルのアニメ化もされ、実写で映画化もされました。ライトノベル界に革命を起こした作品であるらしく、彼の作品に影響を受けて作家になることを決めたという作家もいるほどです。この作品がヒットしてから、似たような作品が数多く出始めましたから、あるひとつの世界観がこの作品によって確立されたのだと思います。
 
ともかくこのブギーポップシリーズを読んでいなかったら、わたしが小説を読み始めるのはもうちょっと遅かったと思います。
感謝感謝。

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