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編集部だより

映画「おくりびと」を観てきました 2009.05.14
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※映画「おくりびと」をまだ観られていない方は読まないで下さい。

こんにちは編集部のDです。
先日映画「おくりびと」を映画館で観てきました。映画を観ると私なりに感想を書くのが日課です。映画を観た後に、私個人が悦に入る為の感想文を今回初めて編集部便りに載せてみます(というか外に向け発信するのは初めてです)異論反論はあると思いますが、まぁ一個人の意見ゆえその点はあたたかい目で読んでいただければ幸いです。
 
【おくりびと】
監督:滝田洋二郎 主演:本木雅弘 キャスト:山崎務・広末涼子・余貴美子 等
 
第81回米国アカデミー賞外国語映画賞受賞、第32回モントリオール世界映画祭グランプリ受賞作品。あまりに大きな看板を背負って帰ってきた「おくりびと」、世界で認められたことで日本でも再ロードショーのような形でDVD発売しているのに映画もやっているという不思議な現象が起きるほど。
(まるで逆輸入みたい)
たまたま両親と一緒に映画館で観たのだが、両親と一緒に観ることに意味があるように感じられた映画。
見せ方、撮り方は正直言うと妙にチープ、しかし大金をはたいて作る映画が多い昨今、逆にそれが新鮮さを感じることができる。作りも大きな山場があるわけでもなく、どちらかというと淡々と流れ続ける印象。しかし2時間20分という時間を全く飽きさせることなく、むしろ集中させて観させ続けるところにこの映画の底力を感じることができる。よくありがちなクライマックスまで2転3転し最後にうわぁ!と思わせるようなタイプの映画ではないので、よくぞここまでスマートにシンプルにそして奥深く作り上げたと感心するほかない。

この作品の面白いところは随所に散りばめられたコミカルなシーン。女性だと思っての納棺作業が実は男性であったり、ルーズソックスに憧れたおばあちゃんがいたり、「死」というテーマに寄りそう作品の中に笑いがあるところに妙なリアリティと監督の手腕が良く見える。
また、納棺士の所作が非常に美しい。魅せる仕草というか、無駄を省いたパフォーマンスというか、能や歌舞伎というような伝統芸のような美しさがあり、納棺士という仕事を全く知らないわれわれにとっては驚きと感嘆が観る人必ず抱く感覚だろう。またそれを演じる本木雅弘の凛とした表情とシワ一つ無い綺麗な羽織などがあいまって、非常に厳かなそれでいて伝統芸能のような美が強く感じることができる。日本の古き良き文化はここに在り!と正直言えてしまう。

この作品は無駄に多くしゃべることを嫌うようだ、しっかり説明するよりも観た人それぞれが自由に感じ取ってくれというような。作品の中心人物、山崎務演じるNKエージェンシー社長の生い立ちも最低限の部分しか説明はしない、しかし無駄な事は喋らない山崎務がこの作品にいることで一本柱が通っている。
広末涼子演じる美香が夫に向っての一言「汚らわしい!!」。あの一言はこの映画のある意味山場ではあったのだろう。観ていた私でさえドキっとするような、え!何もそこまでと喉まで出かかるぐらいの衝撃。しかしこの一言、たった一言で死に対する一般的な概念が作品表面に一気に躍り出る。しかしその一言により、物語が進むにつれ死というものと愛という一見両極に思える概念が融合することになる。そう、死と愛が織り交ざる作業こそ納棺士という仕事なのかもしれない。
死ぬことは誰にとっても平等に訪れるもので、どんなにお金があろうが豪華なものがあろうが、段ボール1箱分の荷物しかなかろうが、そこに差は生まれることはない。ただ旅立つだけのこと。

私が最も印象に残ったシーンはラストの石文のシーン。言葉ではない感情というメッセージを親から子へ、そして孫へと繋いでいく。実は旅立つ人達が唯一本当の意味で唯一残せるものは形ではなく心なのだということが物凄く強く感じられた。そのために私たちは生きているのかもしれない。
昔学生だったころ、日本大学芸術学部の学園祭に足を運んだことがある。そこでカメラ写真の展覧会がやっており、グランプリを取った写真が大きく飾られていた。鼻や口にチューブを通されたオムツ姿の撮影者の祖父。そこに一言「じいちゃん、あんた滑稽だよ」。この作品を見たとき私の目頭が熱くなると同時に強い憤りを感じた。旅立つ人は格好や見てくれなどどうでもいいのだ!ただその人が生涯を通じて得た形の無い思い出や感情、心を持っていければいいのだ!それを滑稽といい放つあなた自身が滑稽なのだよと叫びたくなったことを、この作品を見終わったときふと思い出した。あの時はそうじゃないと救いが無いと思っていたが、この作品を見て確信した。持っていけるかは分からないが少なくとも旅立つ人の心は見送る人々に置いていくことができるのだと。
納棺士という仕事を通じて「死」を強く優しく見つめなおす作品「おくりびと」。非常に素敵で素晴らしい作品だった。
 
 


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