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芸能人インタビュー

第8回 桂 歌丸さん ~落語界の生き字引きが語る~ 2007.09.02
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粋な人種は絶滅寸前?

 まさに「粋」を地でいく「噺家」という生業について56年。今やお茶の間の顔として老若男女問わず親しまれる存在となった桂歌丸師匠。落語芸術協会会長を勤め、旭日小綬章を受章。「落語には粋が集まってる。身なりも仕草も、もちろん噺も。不粋じゃやっていけないんですよ。落語には人生に必要な教訓が凝縮されていましてね。これは内緒なんですけど(笑)、だから私は落語家である自分を教育者だと思ってるんですよ」と自らの職業を語り、「今の日本人はすっかり不粋になった」と嘆きます。そんな歌丸師匠に「日本人の粋」について伺いました。

「知る」は粋 「知らない」は不粋

「昔の人は着物の着方一つとっても大変粋でしたよ。朝着た着物が一日経っても崩れない。うちは横浜で遊廓を生業にしてたもんだから、仕切り役の祖母の着物姿なんかはゆったりしたもんでね。子ども心に、たいしたもんだと感心することがありました」

 今は女性の着物姿に窮屈な印象を受けることが多く、寄席にやってくるお客さんにも粋な人は減ってきたと言います。

 「古川柳に『兵子帯を 背筋で締める 野暮なやつ』ってのがありますよ。兵子帯は左右どちらかにずらして締める方が格好がいい。それを知らないからキチンとしすぎていて野暮になる。

 遊廓には必ず梯子段があって、粋な客なら勢い良くかけ上がるし、途中で立ち止まるなんて絶対やっちゃいけなかった。客足が勢いづくように、止まらないようにって、験を担いでたんですね。なのに、いつか観た吉原が舞台の映画じゃあ、花魁が堂々と梯子段に腰掛けてる。観てる私は不思議でしょうがない。監督はそんなことも知らなかったのかと思って。『知らない』は不粋。『知っている』ことは粋に通じるんですよ」

ゆとりのない今の時代が日本人の「粋」をダメにする

 着る物や言葉遣いだけに留まらず、日本全体がギスギスしていて、「ゆとり」がない、そのせいで日本人全体が不粋になりつつあると、歌丸師匠は言います。

 「今でもたまに、私が高座に上がると、『真金町!』(歌丸師匠の出身地)と声をかけてくれる粋なお客様がいらっしゃいますけどね。『間』を理解しないお客様が増えているのは感じます。落語の笑いは『間』が命。勝手に写真を撮ったり、妙な間で野次を飛ばされると、せっかく噺家がオチのために作り上げた間が狂うんですよ。声をかけるにも時期を見計らう目が必要。闇雲にやっても不粋なだけ(笑)」

 自分さえ良ければいい、そういう考えが現代の人付き合いの根本になりつつあることにも警鐘を鳴らします。

 「昔は長屋暮らしが当り前。長屋は横に長いけど、今のマンションは上下に部屋が並んでるでしょう。人間に上下はないはずなのに、住んでる所からしてランクがついちゃってる。私が住んでる真金町は今でも長屋気質でね。隣の家の間取りはもちろん、醤油の位置まで知ってる(笑)。人情=横並びの粋な関係だと思いますね」

何人も職人たれ!

外国の影響を受けて日本古来の精神までもが侵されはじめている今だからこそ、日本人は『粋』の精神を見直さなくてはいけない時期にきている、と力強く語る歌丸師匠。

 「プロフェッショナルであれ、という意味で何人も職人であるべきなんですよ。以前、名の通った落語家二人が弟子一人連れて寄席を開いたんだそうです。演目が全部終わって楽屋に引き上げた所に、和服姿の上品なお婆さんが現われて、何と弟子にだけ祝儀を渡した。そのお婆さん曰く『あなただけが肌襦袢を着てた』って言ったそうですよ。確かに師匠の二人は肌襦袢を着ない人だけど、お辞儀した時に襟元から一瞬しか見えないもんだからね! 見てる人は見てると、私にとっちゃ大変な教訓になりました。噺家はそういうことを守らなくちゃいけない、粋なものを残していかなくちゃいけない。

 でもね、時代がそれを許さなくなっているところにも問題があるんです。私なんかは噺家ですから、一日着物で過ごすことからやり直したいと思う。ただ、そのために着物をしつらえようと思うと、目ン玉が飛び出る程、高価。とても手が出ない。こうやって、日本人が日本人の『粋の精神』を壊しているところもあるんですよ」

守りたい、「粋」「不粋」を見分ける「目」と「術」

 「粋っていうのは、見た目や考え方、感覚といった、言葉では教えられないこと。だからこそ、「粋」、「不粋」を見分ける目を養わなくちゃいけない。その術こそが今失われつつあるんじゃないでしょうか。日本人が昔から自然と受け継いできた『日本人らしさ』はなくしてはいけないもの。「粋」こそ、まさに日本人らしさの神髄なんじゃないでしょうかね」

かつら うたまる

1936年、神奈川県横浜生まれ。中学在学中に五代目古今亭今輔に入門。61年、桂米丸門下となる。68年、真打昇進。89年に横浜市民功労賞、芸術祭賞を受賞するなど、様々な賞を受賞。長寿番組『笑点』では66年の開始当時からレギュラーを務め、現在は司会としてお茶の間の人気を集める一方、海外でも積極的に高座をつとめ好評を博している。落語芸術協会会長。旭日小綬章受章。

 

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