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TVでも人気のスーパードクター 順天堂大学医学部教授 小林弘幸先生の健康講座
- 【第1回】健康な体を作る「自律神経」の話 2015.07.13
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はじめまして。順天堂大学医学部の小林です。今回から始まった連載では私の研究分野である自律神経を中心に、中高年の皆さんの健康に役立つ情報をお届けしていきます。
さて「健康とは何か」と聞かれたら、どう答えますか? 「病気にならないこと」と考える方が大半だと思います。私は「人体に60兆あると言われる細胞に、きちんと質の良い血液を流せる」ことが健康だと考えています。質の良い血液が細胞に流れていれば、病気を寄せつけません。そのために大切な働きをしているのが「自律神経」です。
自律神経は呼吸や血液循環、消化吸収などをコントロール。就寝時に無意識で呼吸しているのも自律神経が働いているからです。自律神経は交感神経(運動や頭を使うときなどに優位)と副交感神経(寛ぐときや眠るときなどに優位)があり、双方がきちんと働くことでバランスが保たれます。車の役割に例えると、交感神経はアクセル、副交感神経はブレーキ。過度に交感神経が活発化すると「パニック障害」、反対に過度に副交感神経が活発化すると「うつ状態」になるため、自律神経のバランスを保つことが重要なのです。さらに体に良いのは交感神経と副交感神経ともがやや高い状態というのが研究で分かってきました。
とくに中高年世代が注意したいのは副交感神経です。副交感神経は加齢(男性は30代、女性は40代から)やストレスにより下がります。すると血管が収縮気味になって血流が悪くなり、免疫が落ちて病気にかかりやすくなります。私は副交感神経が健康な体を作る源だと考えています。今後、連載で副交感神経の働きを高める方法をお伝えしていきます。
今年は7月から暑い日が続いています。夏は自律神経のバランスが保ちにくい季節です。炎天下で汗をかいて不快になり、クーラーで一気に冷やされる──こうした急激な変化に自律神経がついていけないのです。また、脱水は心筋梗塞や脳梗塞の原因になることがあります。脳梗塞や心筋梗塞は冬場に発症すると思われがちですが、実は夏に多い病気です。高齢者の場合、血管は老化し、血液量が減少しています。若い頃より脱水しやすいので、屋内でも注意が必要です。こまめに水を飲む習慣をつけ、暑い夏を乗り切りましょう。
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■小林弘幸(こばやし・ひろゆき)
順天堂大学医学部病院管理学・総合診療科教授。日本体育協会公認スポーツドクター。87年、順天堂大学卒。92年、順天堂大学院医学研究科(小児外科)博士課程を修了。自律神経バランスの重要性に着目し、便秘外来を開設。主な著書『なぜ、「これ」は健康にいいのか?』(サンマーク出版刊)、『聞くだけで自律神経が整うCDブック』(アスコム刊)など。