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TVでも人気のスーパードクター 順天堂大学医学部教授 小林弘幸先生の健康講座
- 【第4回】「ウォーキング」が体に良い理由 2015.07.13
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自律神経には交感神経と副交感神経があり、双方のバランスが生活の質に関わっています。前回までの連載で、中高年は加齢やストレスで「副交感神経」が下がり、自律神経が乱れやすいので、食事や入浴、そして睡眠の取り方に注意して、副交感神経を上げる生活を心掛けることが大切だとお話ししてきました。
今回は、自律神経を整える運動の仕方についてお話ししましょう。皆さんは日頃から健康の為に体を動かしていますか? 私がお勧めするのは、激しい運動よりも「深い呼吸」で自律神経のバランスを整えることができる「ウォーキング」です。
中高年の方でジョギングを楽しまれている方もいらっしゃいますが、ジョギングは、運動量が大きいため、どうしても呼吸が速く、浅くなり、副交感神経のレベルを下げてしまいます。すると、体は「血流の低下」という状態になってしまうのです。血流は、私たちの体の60兆個の細胞がきちんと機能するために、酸素と栄養を運ぶ大切な役目をしています。血流が悪くなると、免疫力が落ち、かえって老化を招くことになりかねません。血流をコントロールしているのが自律神経なので、加齢やストレスで下がり気味の副交感神経をさらに下げる激しい運動より、「深い呼吸」で血流を良くし、末梢まで充分な酸素と栄養を供給できるウォーキングが最適なのです。
ウォーキングをする時間は、朝よりも夜がいいでしょう。朝は、交感神経が高い時間帯で血管が収縮し筋肉が硬い状態で、けがをするリスクが高まります。副交感神経が優位になる夕食後から寝る1時間前に軽い運動をすることで、末梢の血管が開き、全身の血流が良くなり、眠りの質の改善、肩こりや腰痛の軽減につながります。自律神経をコントロールするポイントをひと言でいうと、「ゆっくり」です。「ゆっくり」を意識し、一定のリズムで、ゆっくり呼吸し、ゆっくり動くこと。時速4キロ程度で、30分から1時間を一定のリズムで歩き「深い呼吸」を心掛けましょう。深い呼吸とは、4秒かけて鼻から息を吸い、8秒で口から息を吐くことです。
自律神経の働きを整えて健やかな日々を送るために、風や木々など季節を感じながら、ぜひ「ウォーキング」で秋を楽しんでください。
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■小林弘幸(こばやし・ひろゆき)
順天堂大学医学部病院管理学・総合診療科教授。日本体育協会公認スポーツドクター。87年、順天堂大学卒。92年、順天堂大学院医学研究科(小児外科)博士課程を修了。自律神経バランスの重要性に着目し、便秘外来を開設。主な著書『なぜ、「これ」は健康にいいのか?』(サンマーク出版刊)、『聞くだけで自律神経が整うCDブック』(アスコム刊)など。