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TVでも人気のスーパードクター 順天堂大学医学部教授 小林弘幸先生の健康講座
- 【第19回】八方美人、見栄はストレスの元 2015.07.13
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この連載では、一日の出来事を綴って心身をリラックスさせる「三行日記」、感性を働かせる「一日一枚写真」などを紹介してきました。これらは自律神経を上手くコントロールするのに役立つ健康法です。一般的に健康法とは運動をしたり、生活習慣を変えたりするものが大半です。今回はあえて「しない」ことで健康になる方法をお教えしたいと思います。
ひとつ目が「人に好かれようとしない」ことです。誰でも他人から好かれたいと思うものです。ただ、誰からも好かれるような人はそういません。著名人がよい例でしょう。熱狂的なファンがいる一方、陰で叩かれる悪口も数知れません。
著名人でなくても、悪口や嫌味を言われ、苦い思いをしたことがあるはずです。もし、あなたも相手のことを嫌いならば「売られたケンカは放っておく」のが一番の対処法です。
誰からも好かれること自体、所詮無理なことです。だから、好きでもない相手にまで気を使ったり、嫌われまいとおべっかを使っていると、いつか心と体は疲れ果ててしまいます。
もうひとつが「見栄」。「自分を大きく見せようとしない」ことも重要です。見栄を張ると最初は優越感に浸ることができ、気分が良いかもしれません。ですがそのメッキが剥がれることをおそれ、自分を大きく見せようとし続けます。自分を偽ってばかりでは気が休まらず、心身のバランスが崩れていくのです。
私たちにとって「誰からも好かれようとすること」や「見栄」は、無用なストレスを抱え、自律神経のバランスを乱すリスクでしかありません。この際、心に溜まった不要な物は勇気を出して捨ててしまいましょう。
昨年、こうした生き方の手本となるような人物が話題となりました。それはノーベル物理学賞を受賞された天野浩教授(名古屋大学)です。快挙を成し遂げたにも関わらず、決して奢らない姿勢は見ていて実に心地よいものでした。感謝や謙虚の気持ちに満たされているとき、自律神経のバランスが整えられます。教授からは人間としても見習うことが多いように思います。
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■小林弘幸(こばやし・ひろゆき)
順天堂大学医学部病院管理学・総合診療科教授。日本体育協会公認スポーツドクター。87年、順天堂大学卒。92年、順天堂大学院医学研究科(小児外科)博士課程を修了。自律神経バランスの重要性に着目し、便秘外来を開設。主な著書『なぜ、「これ」は健康にいいのか?』(サンマーク出版刊)、『聞くだけで自律神経が整うCDブック』(アスコム刊)など。