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TVでも人気のスーパードクター 順天堂大学医学部教授 小林弘幸先生の健康講座
- 【第21回】自律神経を整える「旅のススメ」 2015.07.13
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ゴールデンウィーク目前。暖かな陽気に誘われ、旅に出かけたい季節です。
評論家で歴史家の山路愛山氏は、日本の風土についてこんな言葉を残しました。「日本人は、古きより美しくやさしき自然に育てられて、美しくやさしき詩人たるべく養われたりき」。日本は自然に恵まれ、先人はその自然から文化や芸術を育んできました。現在、欧米の教養ある人はこぞって日本文化を称賛しています。現代の日本で生きる私たちも自然に目を向け、多くを学びたいものです。それに都会で暮らしていると自然にふれる機会が多くありません。「青葉は目の薬」という諺の通り、鮮やかな緑や川のせせらぎ、道端の花の香りなどを感じることは、自律神経のバランスを整えるのに役立ちます。また、旅行の計画を立てるだけでも創造力や想像力は磨かれ、若々しさを保つことにつながります。
とはいえ、忙しくてなかなか遠出できない人もいるでしょう。そんな人は近場でも構いません。たとえば、お気に入りの公園や夫婦の思い出の場所、空を見上げて雲の流れを眺めるだけでもよいのです。私も仕事が忙しくてストレスが溜まりそうなとき、時間を作って公園や学生時代に通っていた喫茶店へ足を運びます。お茶を飲んで懐かしさに浸り、1時間くらい寛いで心身をリラックスさせるのです。もちろん、休憩しただけなので溜まっていた仕事が片付くはずもありません。大事なのはリラックスし、それをこなすだけの体の準備を整えることなのです。
一般的には「今日は気分が良いから、散歩に出かけよう」「気力が充実しているから、ジョギングをしよう」と考える人が多いと思います。決して悪いことではありませんが、気を付けたいのは気分が悪いときの過ごし方です。つい、家でだらだらと過ごしていませんか? これでは一向に気持ちが切り換わりません。悪い流れを断ち切ることができず、不調を引きずってしまうこともあります。「リラックスしたいから、散歩する」「気持ちを一新するため、旅に出かける」─自律神経のバランスを整えるためには、こうした発想を持つことも大切です。
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■小林弘幸(こばやし・ひろゆき)
順天堂大学医学部病院管理学・総合診療科教授。日本体育協会公認スポーツドクター。87年、順天堂大学卒。92年、順天堂大学院医学研究科(小児外科)博士課程を修了。自律神経バランスの重要性に着目し、便秘外来を開設。主な著書『なぜ、「これ」は健康にいいのか?』(サンマーク出版刊)、『聞くだけで自律神経が整うCDブック』(アスコム刊)など。