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TVでも人気のスーパードクター 順天堂大学医学部教授 小林弘幸先生の健康講座
- ビギナー精神を忘れずに 2023.02.28
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年齢を重ねると、若い頃よりも一年が早く過ぎていくように感じます。理由は諸説ありますが、さまざまな経験を重ねた高齢者ほど、同じことを繰り返す頻度が増えてきます。新しい刺激が少なくなることで、時間経過が早く感じるようになるからではないかと言われています。
私も50歳を過ぎた頃にこうした感覚になり、残りの人生を逆算しはじめる時期がありました。時間が限られていると思い知ったとき、何をするのも億劫になりました。私に限らず、周囲にいた同年代も、リタイアを見据えつつも時間を持て余すばかり。前向きな話題よりも将来の不安に対する愚痴ばかりが増え、なんだか覇気がありませんでした。
人生に対して後ろ向きになっている自分に気づいてからは、意識的に新しいことに取り組んだり、過去に失敗したことに再挑戦することを心がけました。犬を飼い始めたのもそのひとつ。犬と共に有意義な散歩の時間を過ごせるようになったし、ゴルフのスコアアップを目指すことで心地よい汗を流せるようになりました。
60歳を過ぎた頃から、道端の雑草や雲など気に入った瞬間や物を1日1枚撮影するようにしています。コロナ禍以降は撮影した1枚をインスタグラムにアップしていますが、他人から「いいね」をもらうことが目的ではありません。今日はどんな一枚を撮影しようかとワクワクすることが撮影の目的です。ときには素敵なものに探しに外出することも楽しみですし、コツコツ撮り溜めてきた写真を眺め、ひそかな自己満足に浸る時間も気に入っています。
歳をとれば、誰でも若い頃のように体は動きません。けれど「年甲斐もなく」という言葉には縛られないでください。いくつになっても、どんな状況でも始められる新しいことはきっとあるはず。ビギナーとして一歩を踏み出せば、心が躍るような新鮮な気持ちをもう一度感じてください。