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TVでも人気のスーパードクター 順天堂大学医学部教授 小林弘幸先生の健康講座
- 夕食は腹七分目 2023.10.04
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運動が体にいいことは間違いありません。ただし、中高年以降は運動しすぎると足腰などを痛め、目指していたはずの健康が遠ざかっていくことがあります。何事もほどほどが肝心ですが、毎日の食事も同じことが言えます。医師をはじめ、多くの専門家が「腹八分目」を推奨していますが、これには私も同意見です。とくに食べ過ぎてしまいがちな夕食は「腹七分目」を勧めていますし、やむなく21時以降になる場合は「腹五分目」にしてほしいとさえ考えています。
夕食を腹五分~七分目にすることで、腸にかかる負担を減らすことがメリットです。腸内環境がよくなり、血流などを司る自律神経のバランスが整えられます。結果的に質のよい血液が作られ、代謝がアップしたり、体脂肪が溜まりにくい体質になるのです。
代謝のよい若い頃は暴飲暴食しても、それほど問題はありませんでした。ただ、年齢と共に食べ過ぎると胸やけや胃もたれを感じるほか、どんどん脂肪が蓄積し、疲れも取れないようになっていきます。こうした変化は体からの危険信号であり、心当たりがあれば夕食の量を控え目にしてください。
とはいえ、夕食が腹五分~七分目では満足できない人もいるでしょう。その場合、献立に肉や魚など、自分の好きなものを一品入れてみてはどうでしょうか。一日の終わりに好物をゆっくり味わえば、腹五分目であっても十分な満足感が得られると思います。
また、よく噛むことも健康力を高めるコツです。噛む際に表情筋がゆるむこと、また咀嚼時に一定のリズムを刻むことで、加齢と共に低下していく副交感神経の働きを高めることができます。心身がリラックスすると共に腸が活発に働きだし、消化・吸収がスムーズになるという好循環を生みます。よく噛み、しっかり味わうことも健康を引き寄せる習慣なのです。