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芸能人インタビュー

第4回 橋爪功・特別インタビュー 2007.06.03
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「ありがとう」は自分自身を知るバロメーターですね

 テレビ、映画などでお馴染みの橋爪 功さん。実は『お客さんと近いところが好きなんだよ』と言うほど舞台を愛する役者なのです。現在も演劇集団円の劇団員として定期的に舞台に立ちます。そんな橋爪さんにとっての「ありがとう」についてうかがってみました。

■ 役者を続けられたのは劇団の仲間たちに支えられたから

 仲谷さん(仲谷昇)の時もそうでしたが、今日子さん(岸田今日子)が亡くなる時も覚悟はありました。でも失ってみると、劇団に大きな穴がぽっかりと空いたようです。そして改めて次は自分だという思いが強くなりました。60歳を過ぎた役者ですから、当然死を近くに感じていますけど。それで僕は新代表になったわけですが、だからといって特別頑張ろうとは考えていません。言い方は変ですが、代表ってつまり事務的な意味なんです。判子とかいろいろ押すでしょ(笑)。これまでそうであったように、素晴らしい先輩方も劇団の中では仲間だし、こういう事も、劇団が続く限りは自然な流れだと受け止めています。それに役者って年齢が違うだけで実は横並び。舞台に立てば皆同じなんです。特にうちは“下克上の円”って言われるくらいで、『オイコラ、お前』って後輩から言われることなんてしょっちゅうです(笑)。それでもその仲間がいるからこれまでやって来られたのも事実。僕は毎年伊豆の土肥で野外劇をやっていますが、そこには毎年新しく劇団員になった役者を使うんです。刺激を受けますし、こういうのって幸せだなぁって思います。

■「ありがとう」はどれだけ口にしても目減りしない言葉

 ありがとうって言葉も僕の中では挨拶の一つなんです。考えてみると、僕は「ありがとう」って結構言っているんです。言いっぱなしみたいなところもありますが、「ありがとう」や「失礼」「いただきます」って当たり前のように言ってます。僕にとっては特別な言葉ではないんです。有り難くなくても言うこともあるし(笑)。でも最近はそういう言葉があまり使われなくなっていますよね。家の中で使っていれば、自然に出てくる言葉じゃないかな? こんなに簡単に人との潤滑油として使えて、誰からも認められている短いセンテンスもありませんよね。だからどんどん使えばいいんです。理屈で言うより先にでる言葉。しかも目減りしない。どんなにたくさん「ありがとう」と言っても安売りしたことにはならないですから。それに軽い気持ちで言った「ありがとう」も、一旦口から出ると、何だかありがとうって気持ちになるんです。言われた方もきっと良い気分になるでしょうしね。何のわだかりもなく、特別な場合ではない時に子どもたちから「ありがとう」って言われたら、その日俺、半日くらい幸せかも知れない。劇団の中でも若い人に「ありがとうね」って言ったらそれはきっと心に残ると思います。僕もそうだったんですから。

 逆に考えれば、その一言が出ない時は自分の気持ちが不安定だと分かるんです。そういう時って「ああ、俺って何でこんなつまんない事でイライラしてんだろう」と戒めることができる。ありがとうは自分自身のバロメーターでもあるんです。でもそれは日頃から使っていないと分からないことです。

■ 演出家の一言に役者として「ありがとう」と伝えたい

 今度舞台に出るのですが、実はうちの劇団の持つ小屋(ステージ円)に出るのは初めてなんです。これまでも出たくて出たくて仕方なかったんですがタイミングが合わなくて。もともと小さい小屋が好きでね。お客さんとの距離感や独特の緊張感は特別です。意外かもしれませんが、お客さんの側にいるのが好きなんです。今回はステージ円の小さな空間で僕の好きな悪漢劇が行われます。しかも脚本を書いてくれた宋君は極悪非道な人間を描くと言っていましたので、私も楽しみなんです。過去に相当悪いことをした人物を今現在の視点で描くお話ですから。皆さんきっと実感をともなって観ることができると思いますよ。

 私は前からピカレスクをやりたいと思って、いくつも演じていますが、今回宋君が「橋爪さんがずっと言っている悪漢劇をやってみたい」と名乗りをあげてくれたんです。彼は人間の心の中にある善意や悪意を描き出すことがたいへん上手な作家なんです。日常のさりげないものの奥に潜むものを的確に捉えますし、情緒だけで芝居を作らない人。生まれてきた人間の哀しみをじわじわと引き出してくれるんです。脚本を書くにも緻密な取材をします。実は今回も彼から、僕を芝居に使いたいって言われるとは思っていなかったんです。演出家の方から俺と一緒に芝居をつくりたいと言われるのは役者名利に尽きることです。「この役はあなたにしかできない」と言われているようなものですからね。最近ではそういうことをストレートに言ってくれる人も少ないんですよ。お陰でステージ円に立つこともできたし、今は本当に宋君に「ありがとう」と言いたいですね。

橋爪 功
isao hasizume

1941年大阪生まれ。日本の演劇・テレビ界の中で最も多忙な俳優の一人。現代劇から時代劇、コメディから悪役まで、ジャンルを問わず主役から脇役まで自在に演じる演技力には定評がある。毎年伊豆・土肥で野外劇「菜の花舞台」を行っている。

 

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