アクティブなシニアライフを応援する情報サイト

素敵に年を重ねる’あなた’のための応援サイト
Home

文字サイズ変更

  • 標準
  • 大

はいからCHANNEL インターネットTV
はいから大人の部活
遺言アプリ100年ノート

はいからお昼の快傑TV
老後の窓口


メディアのご紹介

  • 季刊誌はいから
  • 新聞はいからエスト

好評連載コラム

芸能人インタビュー

綾戸智恵/歌手 歌も会話も愛も、通じ合うからこそ意味がある。 2008.07.23
Share

【芸能人インタビュー】一覧はこちら

今を精一杯生きて、必要とされる人間になりまっせ!

 今もっともチケットの入手が難しいとされているジャズシンガー・綾戸智恵さん。力強いハスキーヴォイスには、華奢な体に秘められた真直ぐなパワーが宿り、聴く者に元気を与えます。デビューしてから十年間、ひたすら走り続けてきた綾戸さん。『アヤド哲学』を持ち、歌手として、ひとりの人間としての人生を、全力で駆け抜けています。

 

コンサートは観客のためのもの。おいしそうな『献立』を立てる。

 「まいど!」コンサート会場に、お馴染みの元気な挨拶が響きます。広い場内が、割れんばかりの拍手と歓声で満たされます。

 「コンサートは、終わった瞬間に過去になります。同じ歌を歌っても、同じものは二度とできへん。どこかで買ってきた『物』やないから、形もなくスッと消えていくんです。でも、来てくれた人の心の中に残っていく。中身がええもんじゃなかったら残りませんよね。せやから、コンサートのときは毎回全力投球! 私はいつも、そのときその瞬間のことしか考えてないんです」

 ジャズシンガー・綾戸智恵さんは、小柄で華奢な体ごと楽器にして、全身からほとばしるように歌います。圧倒的な歌唱力は聴く者の心を震わせ、歌の合間に飛ばされるお笑い芸人顔負けのトークは、客席をどっと湧かせます。コンサートの時間すべてが、観客を楽しませるために工夫されているのです。

 「どうすれば楽しんでもらえるかな、聴きやすくなるかなって常に考えています。コンサートは、お母さんが献立を考えるのと同じですよ。餃子作って、シュウマイ作って、ワンタン作らへんやろ。ほぼ同じやん(笑)。肉があったり野菜があったり、ちょっと手を変え、品を変え。お客さんに『食べたいな』って思っていただけるような献立にしたいんです。自分がいくら好きでも、お客さんが好きやない歌は、だんだん愛着がなくなっていきますよ。お客さんあってのコンサートですから。聴いてくれる人がおらんかったら歌いませんわ。一人で歌ってたって、何も面白くないですやん(笑)」

 デビュー10周年を迎え、全国ツアーで日本各地を回っている綾戸さん。一年に渡り続けられてきた公演がついに、七月でファイナルを迎えようとしています。

歌に『心』を育ててもらった。歌はコミュニケーションのひとつ

 「歌というのは、生きてる中のひとつの作業です。誰かが求めてくれるから、それに応えて歌ってるんです。会話と同じように、キャッチボールですよ。私はお客さんがゼロになったらきっぱり辞めます。ショックも未練もなく。で、また次の道を考えますわ」

 自分から売り込みやプロモーション活動をすることは、一度もなかったという綾戸さん。そんな綾戸さんのメジャーデビューは、40歳のときのこと。『ドクタージャズ』こと外科医でジャズ愛好家の内田修さんに、その才能を見い出されたのがきっかけです。

 「私の歌を聴いた内田先生が『君、いいね』って引っぱり出してくれはったんです。そのときは、面倒やったら辞めようと思ってました(笑)。私、一般人やから業界の知識もまったくなくて、ピンと来なかったんです。でも、あんまりみんなが褒めてくれるもんやから(笑)。嬉しいですやん。でも歌に対する執着はないねん。歌がいいとかピアノがいいとか、トークの方がいいとか色々言われるでしょ。どれでもいいんですよ。『歌ってるときの横顔がいい』って言われたら、女やからそれも嬉しいですわ(笑)。歌だけ、なんて考えたこともありません。人生やっぱり、母と息子と友達と分かち合って、楽しく生きていきたい。自分の人生を歌に食われたら大変や。生きてる限り、他の道はなんぼでもありますよ。人生は、死ぬのをただ待つためのものやないんです。きちんと死ねるように、今を一生懸命生きていかないと」

 綾戸さんにとって『歌』は、現時点で『天使』なのだそうです。

 「受け取り方で、歌は天使になったり悪魔になったりするんですよ。今は天使ですわ。それで、戒めでもある。歌があるお蔭で、道徳を間違えへん。歌手になってなければ、今頃悪いこと色々してたんとちゃいますか?(笑)人間って抑えがないですもん。エネルギー持て余してたら、変な方向に行ってしまうわ。この十年で、たくさんの人が私の存在を『歌』として知ってくださった。私はその人たちを知らないのに、『綾戸さん、テレビ観てます?!』『応援してます!』なんて言っていただける。そしたら、『ありがとう!』ってなりますやん。悪いことなんか、何もできませんよ。この十年間で皆さんに、道徳的にも『人間』にしていただきました」

努力が実ると、パワー全開!娘であることを忘れない

 「気分転換する暇も、ストレス発散する暇もない」ほど、綾戸さんは忙しい毎日を送っています。特に、三年前にお母様が脳硬塞で倒れられてからは、全力でリハビリに取り組んできました。

 「介護は一番大事です。これをちゃんとやらんことには、歌わせてもらわれへん。人とあるまじき者が、人前で歌えるわけがない」

 コンサートのときにも「心配だから」という理由で、お母様を連れて行きます。本誌の取材にも、お母様と共に来られました。歌、家事、そして介護。忙しい日々の中、人に分け与えることができるほどの『元気』はどこから来るのでしょうか。

 「母がよく歩いた日は、嬉しいです。母が良くなるのは、自分の努力の甲斐でもありますから。今日はトイレに行けたとか、階段を何段か多く上れたとか。自分の努力が実ったとき、ごっつ嬉しいです。それまでのストレスや、嫌なことも全部吹っ飛びますよ。あとは、イギリスに住んでる息子のイサから電話があったときかな。『ああ、大人になったなぁ』って思う瞬間があったりすると、元気出ますよね」

 昔は嫌なことがあると、ホテルの豪華な朝食を食べに行ったりすることで、気分転換をしていたそうです。

 「ディナーやと高いから、朝食やねん。可愛いやろ(笑)。今は、食べに行ってる間に母に何かあったら怖いし、心配で行かれへん。これからは、母の望む自分になっていきたいな。親の望みって、有名になるとか再婚するとか、そういう『事柄』やないんですよ。どんなことがあっても挫けずに、元気に生きていくこと。そういうもんでしょ。母への気持ちも、年を重ねるにつれて変わりました。母がどんどん老いて、弱っていく。絶対死なへん! と思ってた母が、死の実感を教えてくれてます。時間よ止まれ、と思う気持ちがあって、それでもいつかは死ぬんだという現実がある。母はそれを見せてくれてるんやと思います」

 そんな綾戸さんもときには介護に疲れ、心が挫けそうになることもあります。

 「そりゃしんどいときもありますよ。でも、自分の立ち位置を間違えてはいけない。私は『介護する人』やなくて、娘です。その人が自分を生んでくれたんですよ。せやから挫けそうになっても、挫けへん。心が折れるのは、『介護する側・される側』っていう関係のみになってしまうからです。親子なんやから、疲れたときは弱音を吐けばいい。『今日はもう寝たい』とか。親は嫌やなんて言いませんよ」

『明日』はすべての人に怖い。綾戸智恵の生きる知恵

 自分一人の力ではここまで来られなかった、と綾戸さんは言います。

 「人とのご縁はほんまに大切ですよ。それがなければこの十年はなかったし、今日という日もない。良いご縁に恵まれても、自分がツンとそっぽ向いてたらどうにもならないんですね。ちゃんと受け止めて、感謝せなあかん。『綾戸のどこがジャズやねん』って言われることもありますけど、それもありがたいことです。私のことに意見を持ってもらってる、私の存在を認めてもらってるってことですから。一番悲しいのは、無視されることです」

 人は、『人の間』にいるから人間なのだ、と綾戸さんは続けます。

 「私たちは昔から、人の間で生きてきたんですよ。両親の間、友達の間。だから『人間』やったんです。でも最近は、『モノ』の間で生きてるでしょ。人とコミュニケーションとらないと。誰かに相談したり何か頼んだりすれば、その人からも何か相談されたり頼まれたりするでしょ。旦那さんのためにちょっと豪華な朝食でも作ってあげれば、旦那さん喜んでくれるでしょ。そうやってお互いに何かを与え合ってる。人って、愛されないと生きていけないんです。愛してばっかりやと、いつか空っぽになる。充電せんとね。愛も、会話と同じ。一方通行でなく、人の間を行ったり来たりするのが大事なんです」

 三人寄れば文殊の知恵。「知恵を使って生きないと」と言う綾戸さんは、悩みがあればすぐ誰かに相談し、一人で抱え込むことはありません。お母様が倒れられたときも、片っ端から友人に電話をかけ、少しでも症状に効きそうな情報を掻き集めました。そんな綾戸さんに、今後の活動方針を伺いました。

 「未来のことはわかりません。人と会う度に、色んな可能性が見出されていきますから。ファイナルの後もどうなるやら。やりたいことだけやって生きていけないでしょ? 自分の気持ち以外に、人からの要望もありますやん。やっぱり必要とされる人間でありたいから。『明日』は怖いですよ、すべての人に。明日、何が起こるかわからへん。やから今この瞬間を大事に生きるんです」

 何でもあり得る。その柔軟さが、綾戸さんの人生をこれからも輝かせます。

綾戸智恵

あやど・ちえ 1957年大阪生まれ。3歳からピアノを始める。17歳で単身渡米、本場のジャズに触れる。クラブ歌手やゴスペルのメンバーとして活動。長男を出産して帰国。離婚後、子育てをしながら音楽活動を続け、1998年、40歳のときにアルバム『FOR ALL WE KNOW』でプロデビュー。以後、これまでにライブ盤を含め多数のアルバムを発表、年間に100本以上のコンサートを行い、NHK紅白歌合戦にも出場。2001年、芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞。現在、10周年記念の全国ツアーを実施中。

ホームページはこちら


綾戸智恵デビュー10周年記念ツアー 2007-08
ファイナル公演

◆東京国際フォーラム ホールA◆
2008年/
7月25日(金)●19:00
7月26日(土)●15:00
7月27日(日)●15:00

◆チケット発売中◆
各公演共 7,500円(全席指定)
10周年ツアー特設ホームページはこちら
(C) K.YODA

【芸能人インタビュー】一覧はこちら


Back PageTop

  • 会社案内
  • プライバシーポリシー
  • ご利用規約
  • お問い合わせ
  • 広告掲載のご案内