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芸能人インタビュー

渡辺徹/役者 ただ一人に振り向いてもらいたくて、役者は裸になって全てをさらけ出すんです 2008.11.28
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テレビ、映画、歌に司会とその多才さから、お茶の間でも絶大な人気を誇る渡辺徹さん。「自分が、カッコイイと思える劇団」にしたいと願い入所した文学座。その思いはデビューから30年を経た今、自ら舞台を企画するなど少しずつ形となっています。

 

皆で何かをつくる。この想いこそが役者・渡辺徹の原点

 テレビドラマ『太陽にほえろ!』で脚光を浴び、歌に映画にと、デビュー以来、常に第一線で活躍を続ける渡辺徹さん。トークにも定評があり、バラエティや司会、ラジオのパーソナリティと活躍の場はさらに広がっています。そんな渡辺さんには、自分が関わる仕事すべてを通して大切にしている思いがあると言います。 ―皆で何かを作り上げたい。

 「サッカーを怪我で断念した後は生徒会に力を入れていました。そこで高校時代、県下の生徒を集めた大イベントを企画したんです。困難もありましたがイベントは大成功! それは私にとって大きな自信となりましたし、その時皆で一緒に何かを作り上げる喜びを知ったのだと思います」

 そこから渡辺さんは“皆で作る世界”を探しはじめ、見つけたのが芝居だったのです。

 「高校一年生の時にお手伝いで地元のアマチュア劇団に参加したことがあるんです。老人ホームへの慰問でしたが、お芝居の最中に皆さん笑うし、終った時には涙を流されるんですよ。その時の感動と皆で作ることの充実感が重なり、その劇団の主催者のすすめで文学座を受けてみたんです」

 

役者が語る言葉。その先にいるのはただ一人のあなた

 こうして芝居の道へと進んだ渡辺さんを一躍スターへと導いたのが人気ドラマ『太陽にほえろ!』。しかし、そこで渡辺さんは人の心を動かす事の難しさを実感したそうです。

 「あの時は本当に大変でした。何しろ私がセリフを言うと場の雰囲気が変わるんですからね。お前台本読んできてるのか! って叱られて。ショックで、たまの休みには公園でただボーっと(笑)。そんな時、砂場で積み木遊びをする子どもを見かけたんです。積み木を積むのですが、地盤がゆるくて何度やっても崩れるんです。その度に怒るんです。それを見ていてふと、私にその子の悔しさが伝わってくるのは、彼が誰かに見せるためではなく、ただ積み木と向き合っているからだと感じました。それでこれは芝居も同じなのでは? と思ったんです。つまり、今までは監督や共演者、ドラマを観るすべての人に向かって表現だけをこねくり回していたんです。私が第一に伝えるべき相手が誰なのか少しも考えずに。そこで次の撮影から、棒読みでもいいからボス(石原裕次郎さん)だけに伝えるつもりでセリフを言うと…『OK!』が出たんです。ただ一人にだけ伝える気持ち。その時、私の役者としての基本は決まったんです」

 その基本を大切に、渡辺さんは、ラジオなどで話す時“皆さん”ではなく“あなた”と語りかけるのです。

 

あなたには愛すべき場所がありますか?

 そんな渡辺さんにとって、文学座は“皆で作る世界”の始まりの場所。ベテランとなった今でも自分の演技、表現への不安を抱えると自然と劇団に足が向かうそうです。

 「今、稽古何やってんの? って言って皆が稽古する姿を眺めるんです。端っこでこっそり、10分でいいんです。すると姿勢を正せるというか、何か取り戻せたような感じがするんです。浮ついたりイラついた自分をリセットできるようなね。それに文学座には凄い先輩たちがたくさんいて、自分に足りないものを気付かされます。私にとって文学座は“役者ドック”なんです(笑)」

 文学座が渡辺さんにとって大切な場所であるように、12月の文学座公演『口紅~rouge~』でも場所が大きな意味を持ちます。渡辺さん自らが企画した舞台だけに思いも強くなります。物語は銭湯を守り続ける主人と家族の元に、渡辺さん演じる怪し気な男が現れることで巻き起こる騒動をやさしい眼差しで描いたハートフルコメディ。

 「これは私がサタケさんに文学座に書いて欲しいと頼んで実現した企画なんです。彼の作品には人肌のような温もりと、何より情があります。しかもそれを正面から表現するのでストレートに伝わるんです。これを是非文学座でと思って生まれたのが『口紅~rouge~』なんです。ただ、最初に台本を読んだ時、キャラクターの扱いが平等すぎるのでは? と感じたので、そのままサタケさんにぶつけてみたんです。すると彼は『登場人物は物語のパーツであって、愛すべきは場所なんです』と説明してくれました。これを聞いて心は決まりました。今の時代、インターネットや携帯電話などで、いつでも誰かとつながっているように感じますが、本当に人が人と向き合い、つながるのとは違うと思います。人との関係が希薄になっている時代にこそ、大切になるのがきっと“愛すべき場所”なんです。この舞台ではそれが銭湯として表現されていますが、贅沢を言わせていただければ、これからは劇場こそが、人と人がつながる憩いの場になればと思います。それと個人的な事で恐縮ですが、今回演出する高瀬は私の同期なんです。その高瀬と今回初めて一緒に仕事ができることになって、二人で芝居を始めた頃の熱や呼吸を感じられるものを作りたいと熱く熱く話しています。文学座のいい役者と優れた台本の出会いから生まれた、とても素晴らしい舞台です。あなたのお越しを劇場で待っています」

 

プロフィール

俳優/渡辺 徹 (わたなべ・とおる)
1961年生まれ。'80年文学座研究所入所。'81年「太陽にほえろ!」でデビュー。一躍人気スターとなり、歌に司会と幅広く活躍。一方で文学座の座員となってからも舞台への情熱は強く多くの傑作舞台に出演している。'01年第26回菊田一夫演劇賞受賞。

 

文学座公演 『口紅~rouge~』

作/サタケミキオ 
演出/高瀬久男 
出演/小林勝也、渡辺徹、中村彰男 他 
期間/2008年12月2日(火)~10日(水)
会場/池袋・東京芸術劇場〈小ホール2〉
料金/一般5,500円(全席指定・税込)

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●12月18日(木)亀戸・カメリアホール

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