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喜び悲しみ、愛、憎しみ…泥くさくても、感情と一本の筋を持つ“人間”を演じたい 2011.11.21
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喜び悲しみ、愛、憎しみ…
泥くさくても、感情と一本の筋を持つ“人間”を演じたい。

 

歌手、役者以外にも執筆や作詞作曲活動など、

さまざまな分野で活躍する西郷輝彦さん。人との絆を大切にし、

顔のみえるつきあいを心掛けているという。

そんな西郷さんの素敵な生き方や、来年1月に

明治座で幕を開ける『女たちの忠臣蔵』についてうかがった。

 

 

■人と人、顔の見える毎日を当たり前に過ごしていきたい

 

 穏やかな語り口、包み込むような優しい眼差し。歌手、役者として活躍する西郷輝彦さん。その人気は年月を経ても変わることはない。多才でスマートなのだが、まったく気取りがない。誰とでも家族のように接するのを心掛け、飾らずに、日々を当たり前に過ごしていると笑う。

 「今日一日おもしろかった。明日もおもしろければいいなと思いながら過ごしています。何も特別な事なんてないですよ。僕はブログをやっていますが、そこで書くことも毎日の誰もが過ごすような日常の出来事です。高級なお店とかも苦手だし(笑)。昔は嘘でもそういう場所で飲んでいないと認めてもらえませんでしたけど、今はそういう時代ではないので、自分が心から楽しいと思える所にしか行きません」

 

 西郷さんはそれが人だと言う。

 「やはり“人”です。例えば、今僕が住んでいる街にも明るくてお洒落なお店はたくさんあります。でも、なんだか店主の顔が見えない感じがしてね。そういう店は絶対に行かない。お店は汚くてもいいんです。何十年もそこで暮らし、お客と向き合って旨いものを提供してきたオヤジがいれば。その雰囲気やオヤジの言葉の一つひとつが好きなんですよ。嬉しいじゃないですか、安心感があって! お互いに特別視することもない関係です。最近は僕の誕生日なんて、そういう店で知り合った、まったく縁も所縁もない連中が30、40人集まってわいわいやるんです。本当に気持ちのいい連中です(笑)」

 懸命に働き、近所の居酒屋で見知らぬ人と杯を交わし、愛する娘の結婚を喜び、大切な友人の死に涙を流す。そこには特別ではない“人間”西郷輝彦がいる。そうやって日々を丁寧に生きる西郷さんだからこそ、演じる役にも人間味があふれるのだろう。

 

 

 

■役者として大事なことは

森繁久彌さんの背中が教えてくれた

 

 歌手としてデビューし、輝かしい功績を残した西郷さんだが、10年の歌手活動の後、役者の道へと踏み出す。豊かな表現力は役者としても遺憾なく発揮された。しかし、西郷さんは転機とも言える人物と出会う。それが名優・森繁久彌さんだった。役者として自信もついてきていた。しかし、ある舞台で森繁さんの演技に触れ、「まるで頭をブン殴られるよう」な衝撃を受けた。

 

 「森繁さんの芝居を観て、僕は自分自身に心底がっかりした。もう役者は辞めようと思いました。そのくらい森繁さんの演技には圧倒されました」

 これほどの役者を前に、自分を役者だと思っていたことを恥じた。そこから西郷さんがとった行動は周囲を驚かせた。自ら森繁さんの門を叩いたのだ。
 「僕を舞台で使ってください! 役者として勉強したいんですと、直接お会いしてお願いしました。そうしたら、森繁さん『いいよ、うちの店先貸してやろうじゃないか。客はしっかりついてる。いくらでも持っていけ』って。かっこいいでしょ! でも、芝居は全然教えてくれませんでした。ただ、一緒にいるだけです。僕はいつだってオヤジさんの背中越しに観客をみていた。大きな舞台で、大きなオヤジさんの背中をみながら、僕は役者として大切なことを教えてもらったのです」

 

 まるで弟子のように森繁さんを必死で追いかけた日々。舞台で動けない自分に苦しみながら、それでもやがて、舞台上で、森繁さんと同じリズムで呼吸することができたと感じたという。『形から入るな。役に入っちゃえば動けるんだよ、テル(輝彦)』という恩師の言葉が少しだけわかった瞬間だった。

 

 

■忠臣蔵のその後を女性の視点から描く『女たちの忠臣蔵』

 

 役者として人間として、厚みと深みを増しながら西郷さんは大きく飛躍していく。そんな西郷さんが橋田壽賀子さん作の舞台『女たちの忠臣蔵』で大石内蔵助を演じる。忠臣蔵といえば、主君を失った浪士たちが、苦悩の末、命を賭して本願を成就させるという、時代を超えて私たちの心に響く物語。しかしこの『女たちの忠臣蔵』で語られるのは、討ち入り後の物語。残された女たちの生きていくための闘いを描く。

 

 大石内蔵助は、内に秘めた思いを決して表に出さない、抑えた演技が必要な役。しかし今回は少し事情が違うと西郷さんは話す。
 「今までは誰もが理想とする内蔵助でした。本音を一切言わず、本当の顔を心の内に隠す。最期までそれを貫いたまま散っていく。でも、今回はちょっと違うんです! 今まで僕はこんな内蔵助はみたことがない。詳しくは話せませんが、怒りも悲しみも全部持ち合わせた“人間”内蔵助なんです。僕はそれが嬉しくてね。

 

  大石内蔵助と言えば、これまで多くの素晴らしい役者が演じています。中には、この方の内蔵助は凄いなというのもあります。でも、その中から今回はどれを選ぼうかという役作りでは意味がありません。橋田先生の描く内蔵助の新しさに負けないように、気品を大事に演じられればと思います。
 さらに西郷さんは、『女たちの忠臣蔵』の魅力について、『何より素晴らしいのは、一番大変なのは大義を成し遂げた男たち以上に、この後も生き続ける家族、子どもや孫の代まで、みんな苦しんでいくことを伝えている』ところだと言う。

 「忠臣蔵を女性の側からみることで、りくは最終的に内蔵助のやったことをどう思ったのだろう、どう自分の中で決着させたのだろう。瑤泉院阿くりは、果たして仇討ちを望んでいたのだろうかという、女性たちの葛藤が浮かび上がります。彼女たちがいかに忠臣蔵という事件に翻弄されて、人生を変えざるをえなかったか。その心の動き、言葉の一つひとつが本当に胸を打ちます。

 仇討ちの陰で、女性たちがいかに苦しみながら浪士たちを支えたか。きっと皆さんも共感できるはずです。ぜひ劇場でご覧いただければと思います。雪の場面は、まさに息をのむ程の美しさですよ」
 新しい年を飾るのに相応しい、感動の大作舞台が幕をあける。

 

 

 

役者/西郷輝彦
さいごう・てるひこ 1947年、鹿児島県生まれ。昭和39年に歌手デビュー。

橋幸夫、舟木一夫とともに“御三家”と呼ばれ、その端正な顔立ちと甘い声で

時代を築く。俳優としても活躍し、テレビドラマの「どてらい男」「江戸を斬る」の他、

「華々しき一族」「最後の忠臣蔵」など傑作舞台にも多数出演。

 

 

 

 

◎明治座創業140周年記念公演
『女たちの忠臣蔵』
作/橋田壽賀子 演出/石井ふく子
出演/高島礼子、西郷輝彦、高橋惠子、一路真輝  他
■期間/2012年1月2日(月)~28日(土)

■会場/明治座
■料金/A席:12,000円 B席:5,000円 ※全席指定・税込
【問】明治座チケットセンター TEL.03-3666-6666


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