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一人の歌い手として掴んだチャンス…『今』がいちばん輝いている私でいたいの 2011.12.05
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一人の歌い手として掴んだチャンス…

『今』がいちばん輝いている私でいたいの

 

エレガントな衣装を身にまとい、軽やかに現れた由紀さおりさん。
童謡や歌謡曲でヒット曲を飛ばし続け、その歌唱力とチャーミングな魅力は、

今や海外でも注目されている。女優としても活躍し、映画『カルテット!』では、

音楽一家を支える心優しき祖母を演じる。

 

 

■世界へ羽ばたくきっかけとなった、不思議な巡り合わせ

 

 オレゴン州ポートランドの古いレコード屋。音楽を愛する一人のアメリカ人アーティストが日本のレコードをジャケ買いし、ある日本人女性の歌声に魅了された。「透明感がありながら、同時になんてエモーショナル! 素晴らしい!」彼は自身のアルバムにて彼女の曲をカヴァー。それはインターネットの動画サイトを通じて世界中に発信され、やがて日本へ舞い戻ってきた。
 誰よりも驚いたのは、由紀さおりさん本人だ。
 「私の知らないところでそんなことが起きていたなんて…本当にびっくり! それは私のファーストアルバムで、発売当時('69年)、彼…トーマスはまだ生まれてもいないのよ。トーマスは『音楽の考古学者』と呼ばれていて、サオリは彼に発掘されたんだって周りに言われているの(笑)」
 その縁で今年、由紀さんはトーマス・ローダーデール率いる12人編成のオーケストラ・グループ『ピンク・マルティーニ』の世界ツアーに参加。ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで『夜明けのスキャット』を始め、日本の歌謡曲を日本語のまま歌った。そのパフォーマンスに観客は熱狂、大歓声とスタンディングオベーションが会場を震わせた。
 そんなロンドン公演から帰ってきたばかりの由紀さんは、「あの熱気と一体感は言葉ではとても言い表せない」と興奮ぎみだ。「音楽は国境や時代やすべての垣根を越え、人々の心を結び付ける強い力があるのね」
 由紀さんは先入観を持たず、どんなところにも飛び込んでいく。自分自身を決め付けず、知識や視野を狭めないよう言い聞かせ、「私に向いてないかも…」と思うことにもチャレンジする。「好きなものだけに囲まれて生きていると、新しい自分に出逢えない」と胆に銘じて生きてきた。
 その生き方が由紀さんの世界を拡げ続け、今回の公演に繋がったのだろう。
 12月にも同グループとの全米ツアーが控えている。ロンドンでの高い評価を受け、当初の予定より歌う曲数が増えた。「童謡コンサートのニューヨーク公演もあるし…」と言いつつ、頬は紅潮し、瞳はきらきらと輝いている。

 

 

■歌手としての宿命を受け入れてから

 迷いが消え、道が開けた

 

 由紀さんは幼い頃から児童合唱団で歌との出逢いがあり、デビュー15年目には姉・安田祥子さんと童謡コンサートを開始。姉妹の美しく絶妙なハーモニーは多くの人々の心を潤し、童謡コンサートツアーは人気の衰えぬまま25年目を迎える。
 近年では保育園や幼稚園などを回る活動も始めた。
 「中学校に歌いに出かけている“手づくり学校コンサート”で、『小さい秋ってどんな秋でしょう?』と聞いたら、皆黙り込んじゃって。葉っぱが色づくとか、虫の鳴く声がきこえてきたとか、食卓に栗ご飯が並ぶとか色々あるのに…。何もしなくても情報が得られる時代だから、言葉の意味に想いを馳せたり、想像力を働かせることができなくなっているのね。
 そういう意味でも、童謡の存在は大きい。次世代の主役を育てているお母さんたちに美しい日本語を、童謡に込められた日本人の心を引き継いでほしいです。そして、子どもの豊かな感性を育んでほしい。美しい日本語の歌を後世へ繋いでいくことは私の使命であり、宿命です」
 由紀さんはきっぱりと言い切った。
 今でこそ、迷いなくそう思える。しかしそこに至るまでには時間がかかった。由紀さんの心の中には、つねに葛藤があったのだ。ソリストとして入った音楽の世界。童謡は素晴らしいものだが、歌手として、自分はこのままで良いのだろうか…思い悩んだことは一度や二度ではない。
 40代の頃、本気で歌手を辞めたいと思った。アメリカに住む男性と恋に落ちたのだ。歌手を辞め、普通の生活に戻り、日本を離れ彼と暮らすことを望んだ。恋愛は12年ほど続き、アメリカで結婚の宣誓の儀式も行ったが、添い遂げることは叶わなかった。
 歌手を辞めようとすると、なぜなのか、必ず歌の世界へ引き戻される力が働くのだと言う。由紀さんは自分の宿命を『受け入れた』。その瞬間、霧が晴れるように迷いは消えた。
 今、一人の歌い手としてソロコンサートも行っている。「21世紀の歌謡曲をつくりたい」と熱っぽく語った。

 

 

■映画『カルテット!』を通じて音楽の持つ力を改めて実感

 

 司会やコメディエンヌ等、マルチな才能を持つ由紀さんは、女優としても活躍中だ。
 映画『カルテット!』では、プロバイオリニスト志望の孫をサポートする祖母を演じた。
 「全編に渡って流れているクラシックが心地良くて! この美しい音楽が象徴するように、バラバラだった家族が再び絆を取り戻していくんです。
 今は核家族化が進み、個人単位で物事を考えるようになってきているから、祖父母の世代と良い関係を築いている主人公一家は、何だか新鮮でしたね」
 この作品の裏にはもう一つ、絆の物語がある。ロケ地である千葉県浦安市で撮影準備を進める中、東日本大震災が発生した。浦安市は深刻な液状化被害を受け、映画の製作自体が危ぶまれたが、被災した市民を含め700人以上がエキストラとして参加。多くの人々の復興を願う気持ちが命を吹き込み、完成を迎えたのだ。「これは浦安市の方々と皆でつくった作品です。皆さんとても協力的で、お元気で、私の方がパワーを頂いたの」
 また、高校生のバイオリニスト・山根一仁さんが本人のまま登場し、チャイコフスキーを演奏するのも本作の見所の一つ。その見事な腕前にすっかり感動した由紀さんは、彼の母親と話し込むうち、いつの間にか友達になっていたと言う。
 「山根くんのお母様とお祖母様が私のコンサートに来てくださったんです。音楽がまた新たなご縁を紡いでくれました」と微笑む。
 そんな由紀さんに、今後の夢を伺った。
 「今、歌手としての私に新たなチャンスが巡ってきています。『SUKIYAKI』(坂本九さん)のように、日本語の歌を世界でヒットさせたいですね。もう不可能じゃないところまで来てると思うの。本当に歌手を辞めなくて良かった!」
 世界のSAORIへのカウントダウンは、すでに始まっている。

 

 

 

■歌手・女優/由紀さおり
群馬県出身。子どもの頃『ひばり児童合唱団』に所属、童謡歌手として活躍。'69年『夜明けのスキャット』で歌手デビュー。『手紙』『恋文』等で数々の賞を受賞。'83年、映画『家族ゲーム』で毎日映画コンクール助演女優賞受賞。40周年を機に歌謡曲のソロ活動を開始。今年発売したアルバム『1969』が話題となる。姉・安田祥子との童謡コンサートツアーは25年目を迎えた。

 

 

 

映画『カルテット!』
類稀なバイオリンの才能を持つ少年・永江開。彼の家族は皆クラシックを演奏する音楽一家だったが、両親は生活のため音楽を諦め、姉は才能ある弟にコンプレックスを持ち脱落ぎみ。追い討ちをかけるように父親がリストラされ、一家は崩壊寸前。開は家族の絆を取り戻すべく、家族カルテットを結成しようと奮闘する…。逆境に負けず前に進み続ける、ハートウォーミングな物語。

■ 監督/三村順一 
■ 高杉真宙、剛力彩芽、鶴田真由、細川茂樹、上條恒彦、由紀さおり 他 
■ 2012年1月7日(土)、丸の内ピカデリー他にて全国順次ロードショー 


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