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芸能人インタビュー
- 過去にこだわらず、〝現在〟の積み重ねを未来へとつなぎ、役者として成長したい 2014.03.17
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重厚感ある落ち着いた演技で、映画、演劇、ドラマなど幅広く活躍する役者・永島敏行さん。今回は、ある夫婦の日々を繊細な心理描写とともに描いた舞台『休暇-Holidays-』に出演する永島さんに、意気込みや役者としての思いなどをうかがった。
■揺れ動く夫婦の心情を描いた濃密な舞台に永島敏行が挑む
広い肩、厚い背中、穏やかな眼差し。役者・永島敏行さんから感じるのは、どっしりとした安定感。落ち着きのある演技は映画や演劇の世界で確かな信頼を得ている。本人は「結構いい加減なところもあるんだよ」と笑う。 過去にとらわれず、常に前向きに役者の道を歩んできた。だからこそ永島さんは現場が好きなのだと言い切る。 「稽古も本番も日々新しいし、刺激に満ちています。自分の中に眠るものを掘り起こしてくれたり、今まで気づかなかった自分に出会えたり。価値観が広がっていくのは、生きていく上でも大きな財産になります」 そんな永島さんが、5月に幕を開ける地人会新社第3回公演『休暇-Holidays-』に出演する。ヨークシャーのコテージでの1週間と、プロヴァンスの十数回の夏を舞台に、ある夫婦の揺れ動く心情を、静かに時に激しく描く。3人の登場人物による、会話で展開する物語だが、優れた台本と力のある役者によって濃密な舞台空間が広がる。永島さんは、病気で療養する妻に愛情を注ぐ夫アーサーを演じる。日本初演となる本作、台本を読んだ印象を伺った。 「僕が読んでまず思ったのは、男は勝手だと。自分のことを優先させて大人になりきれない。本当に生きていく上で大切なパートナーになっているのかな?という思いです。心情的には愛していて、優しさはあるけど残酷だったり。稽古が始まってどうなるか楽しみです」 人間の自然な振る舞いでさえ、気づかないうちに人を傷つけてしまう…。家族を愛し、人間観察に優れた永島さんだけに、今回演じるアーサーへの洞察も深くなる。しかし、永島さんはそれはあくまでも個人の感想であって、役者としての仕事とは切り離すと言う。 「こだわりや先入観を現場にそのまま持ち込んでしまうと、そこから抜け出せなくなる。役は現場でつくっていくもので、あまりカチッと固めてしまうと、観る人の感情が入り込む隙間もなくなってしまう。どこかに緩さというか、自分自身と重なるスペースを残しておくようにしています」
■ときめくことの大切さを気付かせてくれる『休暇-Holidays-』
永島さんは、今回の舞台『休暇-Holidays-』で感じて欲しいものの一つが〝ときめき〟だという。 「いくつになってもときめきは大切。夫婦であっても相手に対して、気持ちがときめくって素晴らしいじゃないですか。恋心や夢中になるものがあると、人生が前向きになります。僕が畑で野菜を育てることもときめきの一つです。このお芝居で、夫婦の絆や、パートナーへの尊敬、この世界に生きる命の不思議、そういうものを感じてもらえたら嬉しいです」 輝かしい実績を積んだ役者だが、そんな驕りは微塵もない。 「過去の栄光では生きていけない。それに引きずられては先に進めない。僕は現在を生きていて、その積み重ねを未来につなげていきたい。役者は年をとるといいっていうのは、本当にそうだなって思います。垢もつくけれど、その分豊かな土壌にもなる。それが今回の舞台でいい花となって咲いてくれればと思います」 未来に向かって歩む劇中の夫婦の姿が、永島さんの言葉に重なる。これまでも質の高い舞台をおくり続けてきた地人会新社の『休暇-Holidays-』での永島さんの演技に注目したい。
■プロフィール
役者/永島敏行
ながしま・としゆき 1956年千葉県出身。映画『ドカベン』でデビュー。TV・ラジオ・舞台など活躍の場を広げている。農業にも精力的に取り組み、マルシェ「青空市場」や・八百屋「青空市場808」なども運営している。
■インフォメーション
地人会新社 第3回公演
『休暇−Holidays−』(日本初演)
作/ジョン・ハリソン 翻訳/水谷八也 演出/栗山民也
出演/保坂知寿、加藤虎ノ介、永島敏行 会場/赤坂RED/THEATER
公演日/5月10日(土)~6月1日(日) 料金/一般:6,500円、25歳以下:3,000円
※全席指定・税込