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芸能人インタビュー
- もう一度音楽と向き合える。待っていてくれるファンの期待が前に進む力となる 2015.09.24
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日本のロックシーンで絶大な人気を誇ったバンド〝ザ・タイガース〟。その人気は解散から40年以上を経ても衰えることはありません。そんな伝説的バンドのドラマーとして活躍した瞳みのるさんに、教師時代のことや音楽活動再開への思いをうかがいました。
■新たな人生の中でも決して消えることのなかった〝音楽〟
爽やかなファッションにサングラス、エレガントな身のこなし。普通なら気障と思われそうですが、少しも嫌味を感じさせません。それどころか取材で訪れた歴史ある建物に「初めて来たけど、素敵な所だね」と手放しで喜ぶ姿は少年のよう。日本歌謡史に燦然と輝くザ・タイガースのメンバー・瞳みのるさん。日本中を熱狂させ、数々の快挙を成し遂げた日本のロックグループのレジェンド。しかもそれはわずか4年間の出来事でした。瞳さんはその時間を「人生の中で最も濃密だった。それくらいザ・タイガースは鮮烈で衝撃的。寝る時間もなく不規則でしたけど夢中でしたね」と振り返ります。 その時間は瞳さんの人生に強く深く刻まれ、影のようについてまわりました。 「抜けられなくなったんです。抑えてもどこからか、当時の〝時間〟が出てきてしまうんです」 それは後悔? それとも未練? 瞳さんはそういった感情は一切なかったと言い切ります。 「僕はもう二度とこの世界に戻る気はありませんでした。自分とは何かを考えたくて」 その言葉通り瞳さんは芸能界から離れ、大学に進学し、教師の道へ進みます。自分とは? の答えは中国文学に求めました。 「やはり原点は生まれ故郷の京都。その歴史を文学から学ぶうち、ではその文学に影響を与えたのは何かと遡って、中国文学に行きあたったんです。中でも唐の文化、白楽天の《白氏文集》です」 肩書も名声もすべてゼロにし教育と研究に打ち込んだ日々。それでも何かが残っていました。燻り消えることのない篝火のように。 「夢をね、見ることがあったんです。大舞台で、幕がすぅーっと開いていく夢を」 後悔でも未練でもない。それでも、瞳さんが最後まで消し去ることのできなかったもの、それこそが〝音楽〟でした。
■今再び音楽の世界へ。瞳の想いがつまった熱気溢れるツアー
迷いはなかった。瞳さんの〝時間〟が再び動き出した。教職を辞し音楽との格闘が始まる。瞳さんはその時すでに自分が多くを手にしていることに気付いたと言います。 「33年間で僕は物事を俯瞰できるようになった。若い頃の悩みも、離れてみたら、些細な事だと分かる。再始動は難しいことではなかったんです。必要なのはそれを技術としてどう伝えるか」 伝えるための技術は中国文学からも学んだそう。 「作詞作曲にも、脚韻の踏み方やリズムなどが厳密な唐代の文学からの影響は大きいですよ。ツアーでも、C|POPS(中国の歌謡曲)を翻訳して歌いますが、その一つが中国で大ヒットした『你到底愛誰』。脚韻もきれいですし、とても素敵な歌です。僕はその中の一節を〝愛の世界、悲哀と破壊〟と訳しました。〝イ〟という音を意識したものです。 ツアーは、C|POPS、唱歌、そして、ツアーのために作った僕の新作の三本立ての構成です。『野ばら』ではゲーテの原詩と世界観を大切にドイツ語、中国語、日本語に訳して歌います。芸術性の高い作品になっていますので、そこもじっくり聴いていただければ嬉しいですね」 最後に瞳さんは「僕が手にした中で一番大きなものは音楽であり、その礎となったのはザ・タイガースであり、何より僕の音楽を待っていてくれて、表現の場をくれるのはファンなんだ。期待される限り前に進むよ」と笑みを浮かべました。
■プロフィール
歌手/瞳 みのる
ひとみ・みのる 京都市出身。1967年、ザ・タイガースのドラマーとしてデビュー。グループサウンズの代表的バンドとして絶大な人気を誇る。1971年に解散し、一年間の猛勉強を経て慶應大学に合格。大学院終了後は慶應義塾高校で33年間教鞭を執る。2011年から音楽活動を再開、二十二世紀バンドを結成し精力的に活動している。
■インフォメーション
「瞳みのる&二十二世紀バンドライブツアー2015」
●9/29(火)くにたち市民芸術小ホール
●10/7(水)渋谷区文化総合センター 大和田さくらホール
●10/23(金)ルネこだいら 中ホール(小平市民文化会館)
●10/29(木)八王子市南大沢文化会館 主ホール
●10/31(土)行徳文化ホール I&I
●11/2(月)大宮ソニックシティ小ホール
●11/21(土)神奈川県民ホール小ホール
●12/3(木)渋谷区文化総合センター 大和田さくらホール【料金】全公演6,000円(全席指定・税込)
【予約・問】さくら株式会社☎03-6273-0591(平日12:00~18:00)