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芸能人インタビュー

人に教えることは何よりも難しい。相手への助言ではなく、自分自身の在り方が大切 2017.02.20
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80年代まで強面の役を多く演じた綿引勝彦さん。91年スタートの昼の連続ドラマ『天までとどけ』の大家族の父親役により、イメージは一変。現在は柔和な役からアウトローまで、自分のものにする名優のひとりに。新作映画『しゃぼん玉』で、道を外した若者をさりげなく導く頑固者を好演。

 

「まずは衣装を着る」
演じる難しさを知る名優のルーティン

 「役者の先輩や仲間が次々と亡くなってね。みんな早いよね。もう少しいてくれたらよかったんだけどな」  寂しさを滲ませる綿引勝彦さん。劇団民藝の舞台や映画、長年続いた『鬼平犯科帳』などで、名優と共に記憶に残る作品をつくってきました。70代を迎えた現在、いぶし銀の演技により存在感は増すばかり。多彩な役を演じる上で、守っているのが偉大な先輩の教えです。

 「それは『まずは衣装を着ることだ』という劇団民藝の英雄・滝沢修さんの言葉です。先輩の大滝秀治さんも、舞台へ着くなり、すぐに衣装へ着替える方でした」  演じる役の衣装に袖を通す。次第に布が肌に馴染み、自然と役と自分が同化するような感覚に至ると言います。名優が小道具に頼るのは、ひとつの役を演じきる難しさを誰よりも知っているからでしょう。  「どんな役でも不安で仕方ない。だって、どう演じてもかなわないもの。さりげなく、自然にそこに存在するために、どうすればよいか。そのために、衣装にすがるんですよ」  演じると決めた役と真摯に向き合う綿引さん。

3月4日公開の『しゃぼん玉』では、心根は優しいものの無骨なシゲ爺を演じました。ロケを敢行したのは、日本の三大秘境に数えられる宮崎県椎葉村です。  「自分の無力さを覚えるほどの大自然。クランクインの3~4日前に現地入りし、衣装を着て小川や山中を歩きました。自然に溶け込み、自分の役に納得してから撮影に望みました」  主人公・伊豆見は親に見捨てられ、強盗などを繰り返す若者。ある日、女性を刺して逃亡中にケガを負った老婆スマと出会います。見捨てるつもりが、弱り切ったスマを家に送り届ける伊豆見。恩を感じたスマは見ず知らずの若者の面倒をみます。ある日、シゲ爺に山仕事に付き合わされることになった伊豆見は、いつしか働く喜び、人の優しさを感じるが、ある事件が起きて…。犯した過ちとの対峙、そして人間の再生を描いた乃南アサさんの小説が原作。観る者に前へ進む勇気を与える感動のヒューマンドラマです。

 「本当に素晴らしい作品に呼んでいただいて、ぞくっとするほどうれしかった。シゲ爺は甘い言葉はかけず、厳格な態度で伊豆見と接します。普段もそうだけど、若者に教えることって本当に難しい。若さには、おごりと情熱が同居しています。僕も若い頃は傍若無人だったから、よく分かります(笑)。だから、相手の非を指摘したり、助言することではなく、僕自身がどうあるかが大切。僕から何かを感じ取り、変わってくれたらありがたいなと思います。  共演した市原悦子さんも相変わらず全力投球でした。共演するたびいつも心を打たれる女優のひとりです」

 役者生活51年。大切なことは、すべて作品から学んできたと振り返ります。  「13人の子どもの父親になったドラマ『天までとどけ』は、人生観まで変わりました。うちは子どもがいないんですが、最初は騒ぐ子ども達に『こら、静かにしなさい』って怒鳴ってました。だけど、それでは伝わらないんですよ。でも本音で話すと分かってくれる。愛情の注ぎ方など、子どもから多くを教わりました。終了して18年経ちますが、今もたまに皆で食事に行っていますよ。  僕は新劇で育った役者。だから、もう少し舞台にしがみついていたいですね。舞台に立つだけで、自分が生きていることを実感できるから。これほど幸せなことはありません」

 

 

■プロフィール

 俳優/綿引勝彦

1945年東京都生まれ。1966年に劇団民藝に入団し、宇野重吉のもと舞台俳優として活躍を始める。71年頃からテレビドラマや映画などでも活躍を始め、長年続いた時代劇『鬼平犯科帳』(フジテレビ)、昼の連続ドラマ『天までとどけ』(TBS)などは今も愛される作品。

 

■インフォメーション

しゃぼん玉』

3月4日㈯ シネスイッチ銀座他で全国公開

■脚本・監督  東伸児

■出演  林遣都、藤井美菜、相島一之、綿引勝彦/市原悦子


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