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戦争とどう向き合って来たか。『城塞』の問いかけを、濃密な演劇空間の中で表現したい 2017.03.21
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個性派、演技派、知性派…役者・山西惇さんを形容する言葉は多い。それはそのまま山西さんの演技の幅の広さを物語る言葉。そんな山西さんが新国立劇場で挑むのが、安部公房作の戯曲『城塞』。今回は戦後日本の傑作戯曲に向き合う山西さんにその意気込みをうかがいました。

 

安部公房の傑作戯曲『城塞』。複雑な心理の男に山西惇が挑む

 「僕は一つの台詞をずっと考えてるのが性に合ってる。だから舞台が好きなんかなぁ。例えば「ありがとう」という一言を一月二月考えても飽きない。舞台だと公演中ずっと明日はどう演じようって考えていられる。それが楽しいんです」  さまざまな役柄を演じ分け、各方面から信頼される大切な役者・山西惇さん。ただ一言の台詞を思い悩む時間が楽しいと言う山西さんが「難しいけれど、その方が楽しいしやり甲斐がある」と話すのが舞台『城塞』。戦後のある屋敷の一室を舞台に、男と従僕と若い女が、男の父に仕掛ける、ある〝ごっこ〟。それぞれの思惑が交錯する中、徐々に彼らの世界は綻びはじめる。世界的にも評価の高い作家・安部公房作の戯曲だ。上演機会の決して多くない作品ながら、戦争責任という重厚なテーマを、5人の役者が濃密な演劇空間として紡ぐ傑作です。  「安部公房の戯曲となると…ほとんど知らない状態でした。今回の戯曲は、読ませていただいた時、まったく古さを感じさせない内容にまず驚かされました。現代にも通用する普遍的な強さを持っています。改めてこの作家の凄さを実感しましたね」  山西さんが演じるのは、ある時から自分の心の時間を止めてしまった父のために、ひとつの芝居をする男。現実との狭間で苦しみながら父親との奇妙な関係を続ける、繊細な感情表現が求められる役所です。  「ものすごく複雑な人間ですよね。父親、母親、妹との関係。コンプレックスというと、途端に薄っぺらくなってしまうんですが、理想の家族像と現実との溝をなんとか埋めたいともがいているように感じます。あとは戦争というビジネス。儲かるから戦争って無くならないんじゃないの? という問いは、井上ひさしさんのお芝居でも教えてもらったことですが、その儲けたと思しき人々が、その後にどんな責任を負うべきなのかを投げかけているように思います。この男の複雑な心の在り様をどう扱ったらいいのか。稽古するうちに見えてくると思うので、それまで折り合いのつかないまま待ってみます」

 重厚なテーマ、先の読めない展開。濃密な演劇空間を堪能!

 テーマもさることながら、舞台としても『城塞』は見所が多いと山西さんは言います。  「もしかしたら一生知ることなく過ごしていたかも知れない作品です。日本とか日本人の来し方行く末を表現しているお芝居だと思いました。戦争と聞くと暗くて哀しいと思うかも知れませんが、この作品は戦争の悲惨にまったく違う角度から切り込んでいきます。その後どう生きて来たかという問いは今も答えが出ていない。そういう部分を、難しくなく堅苦しくなく楽しめる形で提供します。それに劇中劇の構造であったりとか、登場人物5人の掛け合い、せめぎ合い、え~!? どうなっちゃうの? という先の読めない展開など、見所満載です。重厚なのに突き詰めると滑稽にみえる。そんな振り切ったお芝居の境地に皆さんをお連れします。特に辻萬長さん、たかお鷹さんの演技は本当に重さと軽さの振れ幅が尋常じゃない(笑)。僕にはラストに印象的なセリフが用意されていて、そこにどうやってたどり着くか。男の全てを凝縮させた、いい音色になればと思います」

 

 

■プロフィール

 役者/山西 惇

1962年 京都府出身。京都大学卒業。大人気テレビドラマ「相棒」シリーズやNHK大河ドラマ「真田丸」板部岡江雪斎役など存在感ある演技が印象的。舞台では「陥没」(2017年)、「木の上の軍隊」(2016年)、新国立劇場では「雨」「象」「マニラ瑞穂記」など多数出演。

 

■インフォメーション

かさなる視点-日本戯曲の力-Vol.2

『城塞』

作/安部公房 

演出/上村聡史 

出演/山西惇、椿真由美、松岡依都美、たかお鷹、辻萬長 

会場/新国立劇場・小劇場 

期間/4月13日(木)~30日(日) 

料金/A席:6,480円、B席:3,240円※全席指定・税込

【問】新国立劇場ボックスオフィスTEL.03-5352-9999


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