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タルチュフと共に、欲にまみれぺてんと偽善にあふれた現代社会を大いに笑ってください 2020.02.17
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黒澤明監督作品をはじめ、映画、テレビ、演劇で強烈な印象をのこす名優・仲代達矢さん。87歳の今も現役で活躍しています。そんな仲代さんが無名塾公演『ぺてん師 タルチュフ』でタルチュフを演じます。痛烈な皮肉を笑いで包む傑作喜劇への思いを伺いました!

 

 

信じる者は、騙される!? モリエールの傑作に無名塾が挑む

 閑静な住宅街の中に佇む瀟洒な建物。入口には「無名塾 仲代劇堂」の文字。名優・仲代達矢さん主宰の俳優養成所。奥から現れた姿にはやはり圧倒的な“存在”を感じる。鋭くも深い憂いを湛える眼差し、そこにただ居るだけで心が震えてしまう。  「もう最後になるかもしれないからね」。冗談か本気か。静かに笑う仲代さんは今、モリエールの傑作戯曲『ぺてん師 タルチュフ』の3月東京公演に向け稽古に打ち込む。  「元気ぶってますが、70年近く現役でやってきて、まぁ、そろそろだと思っております。役者は80歳を過ぎると名優なんて言われるようですが、身体も衰えるし腰も痛い(笑)」  物語は裕福な商人オルゴンが、敬虔な神職者を装うぺてん師のタルチュフを盲信することでおこる騒動を描いた喜劇。人間の弱さや愚かさを浮かび上がらせます。仲代さんにとってこの戯曲は強く心に残るものだそう。  「俳優座に入りたての頃に参加したのがこのタルチュフ。出番が少ないので、袖から千田是也先生の演技を見て、「いつかこんなタルチュフを演じたい!」と夢のように思い続けておりました。ただ傑作ではあっても時代とともに古びてきて、今の観客には受けないかもという恐れもありました。それでも、今やるべきと信じるものを選んでいます。 “当たる”ための舞台では、表現はどんどん小さくなってしまいます。それに見渡せば世界は欲にまみれ、ぺてんや偽善にあふれています。この点はきっと現代にも通ずるテーマだと思います。もともと喜劇ではありますが、モリエールが初めて上演した時には、宗教界への非難として問題視され上演も苦労したはずです。その点私の『ぺてん師 タルチュフ』は、もうぺてんだらけですから(笑)。ただ、千田先生のタルチュフは喜劇の中に哲学すら感じたのに、私にはまだできないなぁ」

 人間をみつめ続ける仲代達矢が向き合う〝人間〟タルチュフ

 日本を代表する役者ですら〝まだ〟できない!? そんなタルチュフとどう向き合うのか伺うと、仲代さんは楽しそうに笑いながら、  「演じるのが〝人間〟タルチュフである以上、演じ方をひとつに決めることはできません。人を騙す一方、欲望に素直な姿は寧ろ人間くさくもあります。とは言え女性をくどくシーンは難しい。日本人の感覚だと、あんなにしつこいヤツなんていませんからね(笑)。しかもそれら全てがぺてんなのに、あまりに堂々とした態度がそれを真実のようにみせるのだから面白い」  ぺてんと真実の境界はいつも曖昧。モリエールの鋭い洞察とユーモアを、仲代さんがまさに渾身の演技でおくります。  「役を演じる上で思うのは〝人間とは〟ということです。自分も含めた人間を見つめる精神です。タルチュフの中にこの精神を見つけ観察していく。それが役者の作業だろうと思います。千田先生の、本を読み、運不運を見極め、ひたすら努力せよという教えは、私の役者としての生き方を人間の追及へと向かわせ、多くの時間をそこに注いできました。それでも、まだ足りない。まだ完成しない。もっと上手くなりたいという願い叶わぬままに消えてしまうのでしょうな。欲望と共に去ったタルチュフのように(笑)」  タルチュフは権力や権威を虚仮にした偽善者か? その敗北もまたぺてんなのか……。  「さぁ皆さん、稀代のぺてん師タルチュフに騙されて、大いに笑ってください」

 

 

■プロフィール

 役者/仲代 達矢

東京都出身。1952年俳優座演劇研究所附属俳優養成所入所。1975年亡き妻・宮崎恭子と無名塾を主宰し多くの名優を輩出する。無名塾舞台では「どん底」「炎の人」「ソルネス」他。黒澤明監督の映画「用心棒」「影武者」ほか映画、テレビで活躍。文化勲章(2015)、読売演劇大賞・芸術栄誉賞(2018)他受賞多数。

 

■インフォメーション

無名塾『ぺてん師 タルチュフ』

作/モリエール 

翻訳/鈴木力衛 

演出/髙橋和男 

出演/仲代達矢、小宮久美子、菅原あき、長森雅人、松崎謙二、平井真軌 他  無名塾
公演/3月8日(日)~15日(日)
料金/S席(1階):8,500円、A席(2階):6,500円 
※全席指定・税込み ※未就学児童入場不可
会場/サンシャイン劇場

 

 


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