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芸能人インタビュー
- 歌を通して問う〝生きがい” 私が生きる理由や価値は、 私だけが知っていればいい 2020.05.18
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5月20日に新アルバム『存在理由~Raison d'être~』を発表するさだまさしさん。先月上旬、緊急事態宣言が発令される前日に行ったインタビューを今号と次号の2回にわたっておおくりします。新作アルバムや、これからの音楽についてお聞きしました。
「がんばれ!」
ネット配信で届ける皆へのエール「今、仲間が皆居場所がないので……。これをどうしたらいいのかと、考えているところです」
第一声、苦境に立たされている音楽仲間への思いから語り始めたさだまさしさん。ライブの延期や中止が続くミュージシャンの窮状を訴えますが、「とにかく今は生き延びることしか考えてはいけない」と、無理せず安全に過ごすことを強調しました。
「世の中が不幸になった時、最初に自由を奪われるのが音楽を含む娯楽なんです。今回のことでその基盤がとても脆弱なことにようやく皆が気が付いた。今、文化・娯楽が生き残るにはインターネットを活用するしかありません。ライブ演奏をネットで配信して10円、20円でも投げ銭で聴いていただいたり、多くいただいた分は次回無料にしたり。でもそういうものなんじゃないかな、本来の芸能って。ネットなら世界中に配信できるし、きっと新しいことも起きると思います。僕もやりますよ! ただネット配信はやれることが限られるので技術や魂が試される。それは怖いです。それでも悔しいじゃないですか。さだまさしってこんなもん? なんて思われたら」
言葉の通り、さださんは4月10日、自身の誕生日にインターネットの配信でトーク&ライブを公開しました。気持ちがほぐれるユーモア溢れるトークと名曲の数々。最後は急遽つくった『緊急事態宣言の夜に』を披露。医療従事者や外で働く人々、そして画面の向こうの私たちへ「がんばれ!」とエールを送りました。初収録が実現小田和正さんとの幻のコラボ曲
「今、世の中が閉塞感でいっぱいですから、こんな時こそ音楽の世界に身を投じる時間も大切です。今回のアルバムでじっくり音楽と向き合って楽しんでもらえたら嬉しいですね」
新アルバム『存在理由~Raison d'être~』についてそう語ったさださん。クラシックやフォーク、童謡など、幅広いテイストの歌がつまった彩り豊かな一枚です。新曲とともに、岩崎宏美さんや、小林幸子さん、トワ・エ・モワ、関ジャニ∞への提供曲のセルフカバーを収録。さらに注目なのは、小田和正さんとコラボレーションした『たとえば』です。2007年放送のテレビ番組で披露した幻のライブ音源のC D初収録が実現しました。
「たとえば、過去や未来の自分に会ったら、何を問いかけるだろう。小田さんに詞を任された時、時代を超越して自分へ問いかける歌にしようと思ったんです。小田さんも“面白いじゃん”て言ってくれて。一緒につくれて、楽しかったし幸せでした」
さださんは「たくさんの人の力を借りて完成したアルバムです」と、柔らかい笑顔を見せました。いつでも聴く者に希望や勇気をくれるさださんの歌。苦しさや悲しさを抱えて生きる人たちに歌を通じて問いかけます。
「タイトルの“レゾンデートル”は“存在理由”という訳だけでなく“生きがい”という意味もあるんです。あなたの生きがいは何ですか? 何故、何のために生きるのか。人によっては仕事や、家族、趣味であったり。僕にとっては音楽ですが、何でもいいんです。他人にとっての価値ではなく、私にとっての私の価値があればいいんだから、悩む必要なんてない。社会に対する存在意義なんて考えちゃだめだよね。真面目な人は自分に厳しいから自らを責めてしまう。否定するのは簡単だけれども、自分を肯定して、もっと大切にしてやってもいいんじゃないでしょうか。私が生きる理由や価値は、私だけが知っていればいい。そんなふうにぽっと自分のことを許せたらいいですよね」
(6月号に続きます)■プロフィール
シンガーソングライター・小説家/さだまさし
1952年長崎県出身。1973年、フォークデュオ・グレープとしてデビューし、『精霊流し』『無縁坂』などがヒット。1976年のソロデビュー後も、『関白宣言』『北の国から』などの名曲を生む。精力的に小説も発表し、多くの作品が映画化、テレビドラマ化している。「公益財団法人 風に立つライオン基金」を設立、助成事業や被災地支援事業を続けている。
■インフォメーション
『存在理由~Raison d'être~』
5月20日発売
VICL-65374 発売元:ビクターエンタテインメント
発売価格:3,850円(税込)