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俺、夢があるんだよ。 だから最期を迎えるまで ずっと表現者で居たいわけ 2021.02.16
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白いつなぎに身を包み、びしっと決めたリーゼントにサングラスをかけ「…アンタ あの娘の何なのさ」。ロックンローラーのイメージが強い宇崎竜童さんですが、2月20日公開の映画『痛くない死に方』ではトレードマークのリーゼントを封印し末期ガン患者を熱演しています。

 

 

在宅医療の現実を描く意欲作
『痛くない死に方』

 「バンド時代のイメージはありがたいですが、全く固執してないですよ(笑)。だから今回、地毛の白髪頭で言わば素をさらけ出すことになったわけですが、そこに抵抗はありませんでした。病人の役だし、年齢も年齢だし、その方が良いかなと監督とも相談してね。そもそも俺が演技の仕事を受ける理由の一つに、監督にああせい、こうせい言われたいっていうのがあるんですよ。普段音楽の仕事では自分がそういう指示を出している側なので、「もっとこうして」とか「こんな風に考えながら演じて」とか言われる方が自分の可能性を引っ張り出してもらえるし、新しい発見もあるから面白い。だから映画やドラマのお話が来たときには〝宇崎竜童”は捨て、誰でもないすっからぴんの状態で現場に臨みます。今回もそういう気持ちで参加させていただきました」
 在宅医の河田(柄本佑)は日々の仕事に追われ、家庭崩壊の危機に陥っていた。そんなとき担当する末期ガン患者が苦しみの末、亡くなった。患者本人と向き合わず、電話での対応に終始したため最適な処置ができなかったのだ。『痛くない在宅医を選んだのに結局は父を苦しませて死なせてしまった。私の選択は間違っていたの…?』自分を責める娘の言葉が胸に突き刺さった河田は、在宅医の先輩である長野(奥田瑛二)の下で在宅医の在り方を模索し始める。2年後、同じく末期ガンの患者である本多を担当することになった河田。冗談を飛ばし、病人とは思えないほど明るい本多だが、死への不安は確実に押し寄せる。河田は『痛くない死に方』で本多を送ろうとするが――。
 在宅医と終末期患者のリアルを描き、延命治療以外の選択肢も提示する本作。宇崎さんはジョークと川柳が大好きな末期ガン患者・本多を演じられました。撮影中苦労したことは「臨終のとき息を止めていたことくらい」と役柄と同じくユーモアたっぷりに振り返りますが、本作に出演したことで、自身の最期について思うところがあったそうです。
 「作中で言われている“溺れる”ような延命はしたくないなと。臨終シーン撮影のとき、周りには大勢のスタッフがいました。家族がいなかっただけで本当に俺の死に立ち会ってもらったような気持ちになってね。こうやって見守られながら逝きたいなあとか、葬式も木遣で送ってもらうのもいいなあとか。観てくださる皆さんもそうだと思いますが、僕らの年齢になるとずいぶん参考になりますよ」
 
その時が来るまでに成し遂げたい
「赤道直下に届く歌」
 
 とは言え、生きているうちにやりたいことはまだまだ沢山あると意気込む宇崎さん。中でも“詠み人知らず”の歌を遺すことは、音楽家として長年胸に抱き続けてきた大きな夢です。
 「以前アフリカに行ったとき、現地の子どもが『スタンド・バイ・ミー』を歌ってたんです。電気も通っていないような村でですよ。たぶんその子は作者も意味も知らずに口ずさんでいるんでしょうけど、素晴らしい歌っていうのは時間も国境も肌の色もこえていく。そういう歌を作りたいともう何十年も思い続けています。死んだ後あの世から地上を眺めたとき、世界のどこかで俺のことなんか全く知らない坊やが俺の歌をうたってくれていたら最高だよね!」

 

■プロフィール

 音楽家・俳優/宇崎 竜童

1946年京都府出身。1973年にダウン・タウン・ブギウギ・バンドを結成しデビュー。「スモーキン’ブギ」「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」などが大ヒットを記録する。また、作曲家としては妻で作詞家の阿木燿子とタッグを組み、山口百恵をはじめ数々のアーティストに楽曲を提供。1978年には映画「曽根崎心中」に主演するなど俳優としても活動している。

 

 

■インフォメーション

 
「痛くない死に方」
2月20日(土)よりシネスイッチ銀座 ほか全国順次公開
 
■出演 柄本佑 坂井真紀 余貴美子 
     大谷直子 宇崎竜童 奥田瑛二
■監督・脚本 高橋伴明
■原作・医療監修 長尾和宏

 

 

 

 


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