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芸能人インタビュー
- 笑ったり泣いたり、いくつになっても夢中になれる 絵本は大人も面白い! 2021.04.19
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ドラマや映画で強い存在感を放ち続ける室井滋さん。エッセイストとしても活躍し、近年は絵本作品でもその文才を発揮しています。今回は、コロナ禍で閉ざされた日々から生まれた新作絵本『会いたくて 会いたくて』についてお話をうかがいました。
大切な人を想う気持ちをこめた感動の新作絵本
2011年、自分の子ども時代を綴った『しげちゃん』で絵本デビューした室井滋さん。大らかなタッチの絵で人気の画家、長谷川義史さんと、『しげちゃん』シリーズのほか、『すきま地蔵』、『いとしの毛玉ちゃん』など、さまざまな作品を生み出しています。「長谷川さんは、私の長期連載のエッセイに絵を描いてもらって以来、不思議な縁でつながった友人です。いつもはおにぎりのような可愛い子どもを描いてもらっていますが、新作では幅広い世代の方に手に取って頂きたくてデザイン性の高い線画をお願いしました」
室井さんの新作絵本『会いたくて 会いたくて』は、小学生の男の子、ケイちゃんが離れて暮らす仲良しのおばあちゃんに会えなくなってしまうところから始まります。
「昨年から生活が伝染病で閉ざされ、皆一斉に時間が止まってしまったなかで、やっぱりこのテーマからは目を背けられませんでした。苦しさや辛さというより、止まった時間で何を考えるのかが私には重要でした。この絵本は、大切な人に会えなくなった時、子どもは何を思い、おばあちゃんはその子に何を語るだろう、という想像からスタートしました。おばあちゃんと幼い男の子では時間や距離の感覚が違いますよね。もちろんお互い寂しくて会いたいのですが、ずっと長い時間を生きてきたおばあちゃんは寂しさを越えたところにいるんじゃないかなって」
会えない理由が分からず不満に思うケイちゃんにおばあちゃんは知恵や経験で優しく語りかけます。その温かい言葉には誰もが励まされ元気をもらえるのではないでしょうか。ステージで絵本の世界を繰り広げる「しげちゃん一座」
絵本は音楽のように何度も読んで楽しむものだから、室井さんは繰り返し読んでリズムや流れを大切にしながら文章を考えているそう。最後には声に出して読んでみると言います。そんな室井さんの絵本作りへの想いは、〝朗読”への情熱につながっています。
「昔から朗読が好きで、制約なく自由に朗読できる自分の本をどんどん書いて増やしたいんです。そしてやっぱり私は女優なので、ステージで皆さんを楽しませたい。ライブをやりたいんですね」
室井さんは長谷川義史さんやサックス奏者の岡淳さん、ミュージシャンの大友剛さんと「しげちゃん一座」を結成。朗読やライブ・ペインティング、音楽演奏など、ライブショーを行い全国をまわっています。
「ライブで皆と演奏したくて鍵盤ハーモニカを始めたんです。ある時テレビを見ていたら、おでこで鍵盤ハーモニカを弾くおじさんが出てきて、試しに挑戦してみたら一発でできたんですよ! ほかのメンバーは誰もできなかったのに。なので私は皆から尊敬されているんですが(笑)。4人でいると思ってもみなかった自分が現れたり、相手を活かしてあげられたり。化学反応のように面白いことがおこるので飽きません」
いつも一発本番の真剣勝負でライブを行うしげちゃん一座。客席では子どもに負けず、笑ったり泣いたり夢中で楽しむ大人の姿も。
「以前は絵本は子どものものと思っていたんだけれど、そうではないんだと分かってきました。絵本って大人も面白いんじゃんって。富山のF Mラジオで、絵本や昔話、民話の読み聞かせをしているんですが、お年寄りが楽しみに聴いてくださっているんですね。古い話には発見があって勉強になりますし、絵本や昔話の力ってすごいんだ、と改めて感じています」■プロフィール
女優・エッセイスト/室井 滋
富山県生まれ。早稲田大学在学中に1981年映画「風の歌を聴け」でデビュー。「居酒屋ゆうれい」「のど自慢」などで多くの映画賞を受賞。2012年喜劇人大賞特別賞、2015年松尾芸能賞テレビ部門優秀賞を受賞。全国公開中の映画「大コメ騒動」に出演。近刊『ヤットコスットコ女旅』(小学館)他電子書籍化含め著書多数。新刊絵本『しげちゃんのはつこい』(金の星社)発売。全国各地でしげちゃん一座絵本ライブを開催中。
■インフォメーション
「会いたくて 会いたくて」作/室井滋 絵/長谷川義史1,320円(税込) 出版:小学館