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“自由に弾きたいように弾く”ジャズ・ピアニストの運命を決めた母の嫁入り道具 2022.08.22
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日本のジャズ・レジェンドが母へのオマージュを奏でるアルバム『Song for my mother~思慕 』。今作に参加しているジャズ・ピアニストの山下洋輔さんに、ジャズ界に衝撃を与えた山下洋輔トリオのエピソードや母、菊代さんとの想い出などをうかがいました。

 

あわや大乱闘!? 学生運動最中の過激なライブ

 拳や肘で鍵盤を打つエネルギッシュな演奏、燃えるピアノによるパフォーマンス…。既成概念を飛び越える演奏で、山下洋輔さんは、驚きや感動を届け続けています。
 「依頼されたら全部受けちゃう。俺でよければ、という条件付きですが。自由に色々なやり方で表現できるのがジャズだと思っています」。終始和やかに、驚きのエピソードには笑いを交えて語ってくれました。
 山下さんは高校3年生の頃からクラブで演奏するなど、プロとして活動。人気バンドに誘われますが、両親に説得され国立音楽大学の作曲科へ。入学直後の夏休みには、演奏の仕事で訪れたグアム島の空軍基地で、キューバ危機に直面するという体験もしました。卒業後『山下洋輔トリオ』を結成。リズムや調和に捉われない自由な即興演奏“フリー・フォーム”で、日本のジャズ界を席巻します。
 「面白い奴がいる、とテレビディレクターをしていた田原総一朗さんが会いにきたんです。僕が“ピアノを弾いて死ねたらいい”と、いいかげんなことを言ったら、田原さんが“俺がそうしてやる”て」
 1969年は学生運動が激化。田原さんはバリケードで封鎖された早稲田大学構内にピアノを用意し、山下洋輔トリオのライブを敢行します。ゲバ棒を持った学生が取り囲む中、一触即発かと思われましたが、皆演奏に聴き入り暴れる者はいませんでした。
 「一瞬も隙を見せられない格闘技のようなライブでした。ドラムの森山威男は叩きまくるし、サックスの中村誠一は吹きまくる。俺たちは学生運動で既成のものを壊しているけれど、あいつらも音楽でそれをやっている、と学生の間で評判になり沢山の大学に呼ばれましたね。あの頃は色々なことが起きました」

全曲新録! ジャズ・レジェンドが奏でる母へのオマージュ

 「自分勝手に自分の好きなことだけをやる」と、日本におけるフリー・ジャズを長年牽引してきた山下さん。
 『Song for my mother~思慕』は“ジャズ・ピアニスト山下洋輔”の始まりの一曲を聴ける一枚です。日本のジャズ・レジェンド7名が、母への思いを個性豊かな演奏で綴る本作。山下さんとともに、増尾好秋さん(Gt.)、佐藤允彦さん(Pf.)、豊住芳三郎さん(Dr.)、稲垣次郎さん(T.sax.)、坂田明さん(A.sax.)、大野俊三さん(Tp.)の新録が収められています。
 「自分の成り立ちをそのまま表現して母に聴いてもらいたかった」。山下さんの運命を決めたのは、母、菊代さんが嫁入り道具として持ってきたピアノでした。
 「僕は生まれた時から母のピアノを聴き、そのピアノに触れて育ちました。母は近所の子ども達を集めてピアノを教えていたんですが、そこで教えている音楽を僕は耳から覚えた。楽譜は見ずに、メロディを右手で弾いて左手で伴奏をつける。収録曲の『故郷の人々(スワニー川)』は、そういうことがだんだんとできるようになっていった記憶の中の一曲です。最初は単純な演奏ですが、徐々に即興していく。こういう演奏をもっと母に聴かせたかったですね。あまりジャズを聴く人ではなかったから」
 楽譜を見ずに弾く山下さんに、菊代さんはちゃんと楽譜を見てレッスンをするよう勧めます。“いやだ!”と、山下さんは、けっして自由に弾くことをやめませんでした。それが、今につながっていると振り返ります。
 「シューベルトやベートーヴェンを弾く母を見ていれば、ピアノをどう弾けばいいのか分かりました。母はピアノのお手本になるような人でしたが、僕は自由に自分が弾きたいように弾く道を選んだ。そういう人生のめぐり合わせも自分では面白いと思っています」

 

 

 

■プロフィール

ジャズ・ピアニスト/山下 洋輔

1942年東京生まれ。1962年に国立音楽大学作曲科に入学。1969年山下洋輔トリオを結成。1983年トリオ解散後は、ソロ・ピアノをはじめオーケストラや和太鼓との共演で活動の幅を広げる。1988年、山下洋輔ニューヨーク・トリオを結成し世界各国で活動を展開。1999年芸術選奨文部大臣賞、2003年紫綬褒章、2012年旭日小綬章を受章。エッセイストとしても知られ多数の著書を持つ。

 

 

■インフォメーション

『Song for my mother~思慕』

売元:ラッツパック・レコード

RPES-4867

2,750円(税込) 発売中

 

 


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