１９９８年に始まり、市村正親さんがライフワークとして取り組んできたひとり芝居『市村座』が２月26日より日生劇場にて上演決定！ 今回は旗揚げから10回目かつ、役者生活50周年という記念すべき公演。見どころや意気込みについてお話を伺いました。

名作ミュージカルとともに振り返る50年間の足跡

　「今までいろんな役をよくやってきたなと思います。『スウィーニー・トッド』をやったかと思えば『ラ・カージュ・オ・フォール』もやるし、『屋根の上のヴァイオリン弾き』もやる。以前ニューヨークに行ったときには『オペラ座の怪人』と『ミス・サイゴン』のポスターの間に立って、両方出たよ！ なんて写真を撮ったりもしたしね。あと『Ｇ（ゲイ／ラ・カージュ・オ・フォール）で始まってＧ（爺／スクルージ）で終わる』なんてよく言うのですが（笑）、そういう年もあるんですよ。バリエーションがすごいですよね（笑）」
　これまで数々の名作ミュージカルに出演し、狂気に満ちた殺人鬼からお調子者の経営者まで、どんな役でも見事なハマりっぷりを見せてきた市村正親さん。中でも『ミス・サイゴン』や『スクルージ』では同じ役を30年近く務め続けており、まさにミュージカル界の生ける伝説と言える存在です。そんな市村さんが50年の役者生活で培ったもの全てを詰め込んでお届けする舞台『市村座』が２月26日から日生劇場で上演されます。記念すべき本公演では立体落語『死神』を披露するほか、市村さんがこれまで出演したミュージカル作品を、その楽曲とともに振り返ります。曲中には当時の裏話も散りばめられているそうで…
　「例えば『コーラスライン』の時に演出家の浅利慶太さんから『ポール（孤独を抱える青年）らしく振舞えよ』と言われてその通りにしていたら、海外の演出家から『ミスター市村からはあまりやる気を感じられない』なんて言われた話とか（笑）。あとは『ラ・カージュ・オ・フォール』の時に女装の僕があまりにも美しくて、化粧品セットが送られてきたことや、『ミス・サイゴン』のオーディションにもし落ちていたら、受けていなかったとシラを切るつもりだった話とかね。そういう裏話を上手く挟みながら『イエス・キリスト＝スーパースター』から『オリバー！』まで歌おうと思っています。
　それと今回は演出の髙平さんと音楽の上柴さんに頼んで、僕の役者生活50周年をひとつの歌にしてもらいました。初演の時からずっと一緒にやってきた彼らが僕をどういう風に描くのか、今から楽しみです。お馴染みの『俵星玄蕃』も歌いますよ！ おひねり目当てです、50周年ですから、さぞかし多く飛ぶでございましょうとか言ってね（笑） 」

 若々しさの秘訣は食事、ストレッチ、それから…

　取材中、公演のアイデアを次々と繰り出す市村さん。その姿勢や身のこなし、声の張りには年齢を感じさせない若々しさがあります。秘訣を伺うと、ストレッチで汗をかくこと、食べ過ぎないこと、そして何より舞台に立ち続けることだと教えてくれました。
　「舞台がないと老け込むんじゃないかな。変な話、テレビや映画は年相応の役が来るけど、舞台だと年齢に関係ない役をやらなくちゃいけない。そこでやっぱり気持ちの張りがあるよね。最近はちょっとしんどい時もあるけど（笑）。でも、僕ら俳優は他人の激しい人生を疑似体験するのが好きでこの世界に入ってきたわけだから、たとえしんどくても板に立っている時は常に燃えているし、役に対しては攻撃的でいたい。保守的な芝居を見ても、お客さんはぜんぜん面白くないからね」

■プロフィール

俳優／市村 正親

1949年埼玉県出身。西村晃の付き人を経て、1973年に劇団四季の「イエス・キリスト＝スーパースター」でデビュー。以降、「エクウス」や「オペラ座の怪人」で主役を務めるなど同劇団の看板ミュージカルスターとして活躍。退団後はミュージカル、ストレートプレイ、一人芝居などさまざまな舞台に出演する。著書に「役者ほど素敵な商売はない」などがある。

■インフォメーション

市村正親ひとり芝居『市村座』

■作・演出／髙平哲郎　■音楽／上柴はじめ

■出演／市村正親　

■会場／日生劇場　　■日程／2月26日（日）～28日（火）　

■料金（全席指定・税込）／

S（法被付）：10,500円　

S：9,000円　

A（法被付）：8,000円　

A：6,500円

【問】ホリプロチケットセンター03-3490-4949（平日11：00～18：00）