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芸能人インタビュー
- 心が通じれば芝居も変わる。だから私は『ねえねえ』っていう距離で人と接したいんです 2024.02.19
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ミュージカル界の巨匠、スティーヴン・ソンドハイムの代表作にして問題作『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』が、3月9日から始まります。「こんなにドキドキして楽しいミュージカルはない」と話すミセス・ラヴェット役の大竹しのぶさんにお話を伺いました。
戦慄のスリラーミュージカル、8年ぶり5度目の上演
「前回の公演時、市村さんに『これで終わりなのかな?』って聞いたら『でもリターンとかアゲインとか色々あるじゃない』と仰っていて(笑)。だからまたやれるかなという気持ちはどこかにありました」
市村正親さんと大竹しのぶさんの黄金コンビで8年ぶりに帰ってきた『スウィーニー・トッド』。18世紀末のロンドンを舞台に、無実の罪で流刑に処せられた男の復讐劇を描いた、名匠ソンドハイムの代表作です。魅力は何と言ってもその音楽。人物の複雑な心情を表したメロディや、心地よく癖になるような不協和音は、これまで多くのミュージカルファンを惹きつけてきました。
「最初は市村さんとミュージカルができるのがただただ嬉しかったのですが、いざ歌稽古が始まったら本当に苦労しました。やっぱり楽曲自体が変拍子だったり、不協和音があったりと単純ではないので難しいのです。でもその不思議な音が段々ゾクゾクして癖に感じるようになり、所々に同じメロディが分からないように入っていて、それが人物の心情を表していたりするので、本当にソンドハイムは天才だと思います」
素晴らしい作品に巡り会えた喜びに満ち溢れているという大竹さん。今回の上演が一番よかったと言われるようにしたいと意気込みを覗かせます。
「5度目なのにこんなものなの? と言われないようにしなくちゃ。新しいキャストの方も多いので、皆でエネルギーを高め合いながらやっていきたいと思います」舞台は皆でつくるもの。たとえ嫌われても言うべきことは言う
ミュージカルからストレートプレイまで、演劇界に欠かせない存在である大竹さん。演出家や共演者からの信頼も厚く、特に若手役者からは芝居に関して相談されることもあるそうです。
「相談に乗るときはもちろん一緒に真剣に考えますが、私が言ったからそうしなくちゃいけないって思われないようにしています。『こうした方が良いと思うけど、とりあえずやってみて』という感じ。それでちょっと変わったりすると私も嬉しいし、徐々に芝居が良くなっていくのはすごく楽しいですね。
若手への助言で思い出すのは、大河ドラマでご一緒した奈良岡朋子さんが、若い女優さんの間違いをスパーンと指摘したこと。私は遠慮して、2回やったら言おうかな…と思っていたのですが、奈良岡さんは最初から。それでその後『しのぶも気づいてたでしょ。ちゃんと言わなきゃだめよ』って。その時、ああ私もそういう歳だから、最低限のことはきちんと教えていこうと思ったんです。相手に嫌われたら? こんなに長く生きてきて、もう嫌われたっていいじゃない。その時はその時だって思います。
今の若い子は人と関わるのが面倒って言うことが多くて、稽古場でも一人遠くに居るんです。どうしてって聞いたら『シャイだから』って。ひっくり返りそうになりましたが、もうそんなこと言っている場合じゃないんだよと伝えました。そうしたら次の日から近すぎる程近くに来て(笑)、不思議なことに芝居も変わったんです。そうやって心が通じれば、次はこうしようとかも言えますよね。遠くに居たら始まらないじゃないですか。だから私は『おーい』ではなく『ねえねえ』っていう距離で人と接したい。個々の技術も大事ですが、やっぱり舞台は皆でつくるものだから、信じあって助け合ってやっていかないと。一人で頑張るのではなく皆で頑張るのが舞台なんだって、いま改めて実感しています」■プロフィール
女優/大竹しのぶ
1957年東京都出身。1974年『ボクは女学生』の一般公募でドラマ出演。翌年、映画『青春の門 -筑豊編-』のヒロイン役で本格的デビュー。以降、気鋭の舞台演出家や映画監督の作品には欠かせない女優として、世代を超えて支持され続けている。11月には舞台『太鼓たたいて笛ふいて』に出演予定。また、朝日新聞人気コラムの書籍化第4弾『ヒビノカテ まあいいか4』が幻冬舎より好評発売中。
■インフォメーション
ミュージカル
「スウィーニー・トッド
フリート街の悪魔の理髪師」作詞・作曲/スティーヴン・ソンドハイム
演出・振付/宮本亞門
出演/市村正親 大竹しのぶ ほか
会場/東京建物Brillia HALL
日程/3月9日(土)~30日(土)
料金(全席指定・税込)/S席:昼15,000円、夜14,500円
A席:昼10,500円、夜10,000円
【問】ホリプロチケットセンター03-3490-4949
(平日11:00~18:00/土日祝休) ★「はいからを見た」とお伝えください