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シャンソンを歌うことは私の光。歳を取ることも案外良いじゃん、と思えるんです 2024.09.17
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 今年は日本のシャンソン歌手の金字塔である越路吹雪生誕100年、『愛の讃歌』を越路が初めて録音してから70年という節目の年でもあります。そのレコーディングと同じ年に生まれ、美しいシャンソンの名曲をうたい継ぐクミコさんに話を伺いました。

 

銀巴里で歌われ人々に愛されたシャンソンの名曲


 聴く者の心を時に揺さぶり、時に優しく包み込む。その歌声でシャンソンの魅力を広く伝えるクミコさん。1982年、伝説的シャンソン喫茶「銀巴里」で、クミコさんはプロ歌手としての活動をスタートします。
 「あの頃はシャンソンがもっと認知され街でもよく流れていて、銀巴里にも若者から中高年まで色々な人が集まりました。世代を越えて共有できる歌がある良い時代でしたね」
 文化人も通い、個性豊かな歌手を育んだ銀巴里。クミコさんはそんな銀巴里で愛された名曲を歌い継いでいます。新作『私の好きなシャンソン Vol.2〜シャンソンティックな歌たち〜』では、美輪明宏さんの『ヨイトマケの唄』や、金子由香利さんの『時は過ぎてゆく』を収録しました。
 「金子さんのコンサートに行った時、言葉が自分に語りかけられているように近く感じられて、最初から最後まで涙が止まらなかった。大勢に向けた迫力ある歌唱じゃなくても、ただ一人に届けるように歌うことで深く伝わるんだ、と教えてもらった、とても影響を受けた銀巴里の先輩です」
 さらに、越路吹雪さんの代表曲でもある『愛の讃歌』も収録。最近では、闘病中のセリーヌ・ディオンさんがパリ五輪開会式で歌い、感動をよびました。
 「戦争がおきているこの世界で〝愛”というテーマを歌うだけでも、ものすごく強いメッセージですよね。歌というのはやっぱり愛で、人間としての本領でもあるんだ、と。生身の人間が身一つで感動させる歌の原点を見られて、同じようにひたすら人力でやっている者として、とても嬉しかったです。『愛の讃歌』は、若い頃はあまり理解できない歌でしたが、やっと胸を張って歌えるようになってきました。今回のアルバムでは、歌の後に演奏が流れて終わっていく構成になっているのですが、混沌の世界に光が差し込むようなアレンジで、良い録音になったと思います」

 “ニッポン・シャンソン”の魅力をもっと広めたい

 クミコさんが銀巴里でデビューして42年余り。歌手として山あり谷ありの道のりには、気づくといつも隣に歌がいました。
 「何回手放そうとしても、いつの間にかそばにいる。昔はたくさん苦しめられましたが、ここまで一緒にやってきて、やっと前よりは付き合いやすいやつに思えてきました。歳を取り周りの環境も変化するなかで、 歌に励まされるなんて言葉にすると陳腐ですが、ふと歌が光に感じられる瞬間があるんです。日常で自分の嫌な部分に気づいて落ち込む時があっても、歌う時だけはまだ私は大丈夫と思わせてくれる、いい友達ですね。それに、シャンソンは年齢を重ねることで歌に説得力が増していくので、歳を取ることも案外良いじゃん、と思えるんです」
 シャンソンを心を慰めたり励ましたりするパートナーにしてもらえたら嬉しいと語るクミコさん。この秋は、そんなクミコさんが出演するコンサートが続々と開催されます。10月23日には「ニッポン・シャンソン・フェスティバル2024」に出演。シャンソンに馴染みが無い方も楽しめるコンサートになっています。
 「幅広いジャンルの方が出演するので、これまでのシャンソンのイメージとは違うフレッシュさも感じられるんじゃないでしょうか。美しい日本語詞の〝ニッポン・シャンソン”の魅力をもっと広めていきたいですね。私の歌で、皆さんに温かい光を感じてもらえたらなによりです。こんな時代だからこそ、光を分け合いながら一緒に生きていきましょう」

 

 

■プロフィール

歌手/クミコ

1954年茨城県生まれ。早稲田大学教育学部を卒業。1982年銀座「銀巴里」でプロ活動をスタート。2002年『わが麗しき恋物語』が大ヒット。2010年『INORI 〜祈り〜』で第61回NHK「紅白歌合戦」初出場を果たす。今年の秋は、10月23日のコンサートのほか、11月25日・26日には越路吹雪生誕100周年記念イベント、11月27日には横浜特別公演、さらに12月3日~7日の期間中、4日間の特別公演に出演予定。

 

■インフォメーション

ニッポン・シャンソン・フェスティバル2024

日時/10月23日(水)

17:00開演(16:00開場) 

会場/東京国際フォーラム・ホールC 

出演/クミコ、松田美由紀、松村雄基、安蘭けい 他

料金/全席指定9,500円(税込)

【問】サンライズインフォメーション 

0570-00-3337(平日12:00~15:00)

 


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