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子どもが居場所を見つけ、生きていける世界を願って。きらめきに満ちた作品になりました 2026.10.19
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国内外で作品が高く評価される西川美和監督。10月16日に公開が始まった『わたしの知らない子どもたち』は、戦争孤児が焼け野原となった東京で逞しく生きる姿を描きます。「題材は戦争ですが、主体は子どもたち。だから子どもたちにも観せられる作品が目標でした」と話します。

 

おこがましい気持ちを乗り越え、現代に響く戦争題材の映画を

 21年公開の映画『すばらしき世界』の原案となった小説『身分帳』(佐木隆三著)を通し、かつて12万人以上いたとされる戦争孤児に関心を持った西川監督。荒廃した街に放り出された孤児、彼らを取り巻く戦後裏社会の実情を描きたいと思うようになります。しかし、戦争を経験していない世代である自分が、戦争を題材にするのは「おこがましさ」があったと言います。

 「広島出身なので、幼いころから戦争や広島原爆の記憶にふれてきました。とはいえ、私自身はそれらにちゃんと向き合えてきたわけでもなかったです。それに戦争の実相を知る上では、戦争を経験された先人が作られた映画をを超えるものはない。ずっと、そんな風に思っていました。
 けれど、私が重たい戦争映画を自ら進んで観たいと思わないように、若い人たちが何十年も前に作られた戦争映画を観るのだろうか。でも同時に、戦争を語れる世代の人々は亡くなっていく。このままだとこの国の過去は本当に忘れ去られていくようにも思い、現代に合った語り口で、戦争の映画を手がけたいと思いました」
 戦争孤児について調べるほど、西川監督にもうひとつの葛藤が生まれます。想像していた以上の惨状を知り、体験者に実情を聞くと胸が痛くなりました。
 「軽々しく商業映画の題材にはできない。映画化をストップしたほうが良いのではと思ったことが何度もありました。そんな折、ウクライナ侵攻を皮切りに各地で争いが起き、それは今日も続いています。たとえ戦争が終わっても失ったものは二度と返らず、怨嗟は未来へ続いていく。だから、大きな戦争を経験した国の子孫である私たちが『戦争を知りませんでした』では済まないと感じました」
 1945年終戦。12歳の琴子(小八重葵美さん)は疎開先から東京に戻るが、帰りを待っているはずの両親の姿はなかった。靴磨きでわずかな日銭を得るが、ある日、少女であることが身の危険を招く現実を目の当たりにする。彼女は髪を切り、少年として同じく孤児となった仲間と行動を共にする。闇市を仕切るヤクザ(岡田准一さん)から仕事を請け負い、生きるための糧を得る。一方、かつて琴子の担任教師だった曽根(二階堂ふみさん)は敗戦により婚約者や職を失い、人生を見失いかけていた……。
 「脚本を書いたのが、ちょうどコロナ禍で明日がどうなるかも分からない時期。子どもたちは友達と遊ぶこともできず、学校行事が中止になってしまう状況でした。
 映画は混沌とした東京が舞台ですが、親を失った子どもたちが、ときに自らの手を汚しながらでも生きていく。この強かさと逞しさが、閉塞感が漂うコロナ禍を過ごす私には魅力的でした。どんな状況でも、子どもたちが自分の居場所を見つけ、生きていく、その強さと輝きをスクリーンで観たいと思って脚本を書き進めました」
 戦争に全てを奪われながらも、未来をつかもうとする人々を描いた本作。瓦礫と化した東京の街で、生きることを諦めない子どもたちの眼差しが、スクリーンで輝きを放ちます。
 「映画って楽しみや息抜きをするための娯楽です。観終わったとき、思わぬ頂き物があったというのが素晴らしさだと思います。
 本作は自分の作品だということを忘れてしまうほど、きらめきに満ちた作品に仕上がったと思います。私自身もそうでしたが、過去の戦争に目を背けながらも、知っておかなければいけない気持ちがある人も多いと思います。この映画がきっかけになればうれしいですね」

 

■プロフィール

映画監督/西川 美和

1974年、広島県出身。早稲田大学第一文学部卒。『蛇イチゴ』(02)でオリジナル脚本・監督デビュー。以降、『ゆれる』(06)、『ディア・ドクター』(09)、『夢売るふたり』(12)、『永い言い訳』(15)、『すばらしき世界』(21)を発表。小説やエッセイも手がけ、作家としても高く評価。8月に原案小説『わたしの知らない子どもたち』(palmbooks)を上梓。

 

 

■インフォメーション

わたしの知らない子どもたち

■10月16日より全国公開中

■監督・脚本・原案/西川美和
■出演/小八重葵美、二階堂ふみ、坂東龍汰、櫻井海音、北村有起哉、吉田羊、竹野内豊、岡田准一/田中裕子、役所広司 ほか

 

 


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