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一期一筆
- 子ども人口時計 2022.08.22
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時を刻むのは柱時計、腕時計、置時計、電波時計などだが、人はこの他にもさまざまな時計の中で暮らしている。生体リズムや寿命を支配していると言われる人体の体内時計や腹時計もある。地球滅亡までの時間を示す〝社会時計〟と言えば終末時計だろう。
こんな社会時計を最近知った。東北大学経済学研究科の吉田研究室が公開している我が国の〈子ども人口時計〉である。〇~一四歳までの子どもの数は、昨年四月一日からの一年間だけでも二五万八〇〇〇人減少しており、この時計によると、このままのスピードで減少が続けば、日本の子どもの数がたった一人となるのは、理論上では二九六六年一〇月五日だという。
まだまだ先のような話だが、事態は深刻である。厚生労働省が発表した二一年の人口動態統計(概数)では、一年間に生まれた子どもの数(出生数)は八一万一六〇四人で、六年連続で過去最少を更新。一人の女性が生涯に産む子どもの推計人数を示す合計特殊出生率も六年連続の低下となって一・三〇だった。
米国の電気自動車メーカー・テスラの創業者イーロン・マスク氏が、日本の出生率の低さに言及し「日本はいずれ消滅するだろう」とツイート、話題となったが、このままでいけば日本人は、いずれ消滅する運命にあるのである。
日本存続の危機でもある少子化問題。来年四月には少子化対策の司令塔となる「こども家庭庁」が産声をあげる。我が国の存続というか、命運を担う新組織である。大胆な政策立案はもちろんだが、〈子ども人口時計〉の針を巻き戻す豪腕も期待したい。(石井仁・読売新聞東京本社元記者)