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ソロ活女子 2023.08.28
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 「天で一本つけてくんねぇ」。ある歌舞伎の一場面。苦み走ったいい男が、蕎麦屋ののれんをくぐりながら言い放った粋な注文言葉と〈ソロ活女子〉と言う言葉が思い浮かんだ。夏の新蕎麦を目当てに初めて入った蕎麦屋でのことである。
 昼下がりだった。40歳前後だろうか、店内の小上りで天ざるを肴に銚子を傾けている女性がいた。ひとり時間を静かに愉しんでいるように見えた。自分のやりたいことを、やりたいときに、やりたい方法で愉しむ自立した行動派女性たちがソロ活女子と呼ばれている。蕎麦屋で偶然出くわした小粋な女性も、そんなソロ活女子の一人だったように思う。
 ソロ活という言葉は、単独を意味するイタリア語の
〈ソロ〉と日本語の〈活動〉を組み合わせた造語。ひとり焼肉やクルーズディナー、キャンプ、陶芸、美術館巡り、落語、旅…。勤めを終えた退社後や休日に自分だけの時間をポジティブに、時には贅沢に愉しむ女性たち。フリーライター朝井麻由美さんのエッセー本『ソロ活女子のススメ』を題材にした同名のテレビドラマが、2021年4月からシリーズで放送されたことも女性たちのソロ活意識を高めたようである。
 女性が輝き、元気であれば、社会も元気になる。ネガティブな意味も含まれるようになった〈おひとりさま〉に代わり、ポジティブな生き方で社会を闊歩するソロ活女子。もちろん大歓迎である。ソロ活主婦やソロ活男子という言葉も時々耳にするようになった。ならば…道なき超高齢社会を先駆する〈ソロ活爺〉の出番も…えっ、お呼びでない。失礼しやした。(石井仁・読売新聞東京本社元記者)


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