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霞む独身貴族 2023.10.16
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 超高齢社会と言われる日本だが、実は独身者も多い超独身社会でもある。2020年時点の国政調査では65歳以上の高齢者人口は約3600万人。一方、15歳以上の配偶関係別人口から、未婚や配偶者との離別、死別を合わせた全ての独身者は約4930万人。内訳は現役独身者が3556万人、高齢独身者は1374万人となっている。
 国立社会保障・人口問題研究所(社人研)の推計でも40年には有配偶者53%に対して独身者は47%と、国民のほぼ半数を独身者が占めるというのである。
 裕福な金持ち独身者という意味ではなく、そこそこの収入があり、おカネと時間を自分のためだけに使っている未婚の独身者を羨んで〈独身貴族〉と呼んでいた昭和の時代もあった。高度経済成長期が終わって安定期に入り、95%前後の男女が結婚した1970年代後半頃の話である。
 そんな独身貴族の存在が眩しかった時代が、遠く霞んで見えるのが、昨今の独身者の増加。背景には、高齢独身者の増加と手取り額の減少などで結婚を望めない若い世代の未婚人口の増加があるという。
 さらに、2020年時点での生涯未婚率(50歳時未婚率)は男性28・3%、女性17・8%を記録。婚姻件数も最多だった1972年の約110万組に対し、2021年は約50万組と半数以下にとどまっている。
 結婚しない人が増えれば少子化は進み、人口も減少していく。社人研によると、日本の人口は20年の1億2339万人から100年後には4122万人と3分の1になるという。深刻な事態である。どこで歯車が狂ったのだろう。(石井仁・読売新聞東京本社元記者)


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