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人工冬眠 2024.01.15
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 とんとん。優しくロボットに肩を叩かれる。「24時間後に地球到着です。起きてください」。人間は目的地まで冬眠状態。宇宙船での旅である。コールドスリープとしてSFの世界で描かれてきた人工冬眠。その実現を目指す研究成果が近年、報告され始めている。
 人工冬眠分野で最近注目されているのが、筑波大学と理化学研究所の研究チーム。一昨年には、マウスを冬眠状態に近い状態に置くという画期的な方法を導入し、下半身に向う大動脈の血流を一時的に止めて腎臓のダメージの有無を調べた。結果はダメージを示す血清マーカー値は上がらず、腎臓機能も正常だったという。
 同チームは2020年秋、マウスの脳の視床下部に存在するQニューロンという神経細胞群に刺激を与える手法で冬眠しないはずのマウスを低代謝で生き抜く冬眠に極めて似た状態に誘導することに成功している。
 この同チームの最新の研究成果は、リスクが伴う心臓や大動脈手術などの臨床医療にとっても朗報だが、冬眠中に筋力が落ちないクマなどの冬眠メカニズムには謎が多く、人間への応用にはまだ時間が必要という。
 ただ、人工冬眠の技術が将来確立されれば、手術中の臓器のダメージ防止だけでなく、癌細胞の増殖を抑えたり、くも膜下出血などで救急搬送される患者の治療開始までの時間稼ぎなどへの活用も期待される。
 宇宙旅行は、その先の話ではあるが、冬眠の本質は体内組織の低代謝状態。人工冬眠できれば食事抜きの宇宙の旅も可能となり、食糧など宇宙船の荷重も軽減できる。人工冬眠技術の恩恵を享受するであろう未来世代が羨ましい。(石井仁・読売新聞東京本社元記者)


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