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一期一筆
- 中高年も美男子に? 2025.07.22
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フランスのマクロン大統領の就任直後のメイク代金は、約338万円だった。一方で前任のオランド大統領の場合は、メイクとヘアセットに毎月約78~130万円かけていたという。外に出て恥ずかしくない男性のルックス維持は、政界に限らずビジネス社会でも最近求められているようだ。
市場リサーチ会社インテージによると、昨年の男性化粧品の市場規模は、コロナ禍前の2019年比1・8倍の497億円だった。その9割は基礎化粧品が占め、クリームが19年比2・4倍、パック同2・9倍、クレンジング同3・2倍、特に美容液は同4・9倍の高い伸びとなった。
また、昨年までの5年間で購買額が最も伸びたのは、20歳代と30歳代で、ともに1・8倍となった。さらに50歳代と60・70歳代の伸びも1・5倍に増えた。
コロナ禍でオンライン会議が多くなり、自分の顔のアップを見た中高年男性が、画面上の〝老け顔〟に衝撃を受け、化粧に目覚めたのが、市場規模を押し上げたとの分析結果もある。
『魏志倭人伝』には、当時の男性のお歯黒や入れ墨の記述がある。平安時代には上流階級の男性が眉毛を描いたり、白粉を塗ったりしていた。江戸時代には、細眉に整えることが町人の間に流行っていたとの記述も残っている。
こうした古来からの男性の化粧観が変わったのは、明治維新以降だ。重工業の発展で化粧に無頓着だった男性時代に入ったが、昨今のジェンダーレスによる社会の意識変化で古来からの男性化粧観が復活。次はメイク化粧品で男性もメイクアップする時代。そんな予感がしてきた。(石井仁・読売新聞東京本社元記者)