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一期一筆
- 風評加害者の正体 2025.10.17
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風評被害の裏側には、必ず風評加害者勢力が存在する。東京電力福島第一原発事故は多くの教訓を残したが、これまで表立ってほとんど触れられることがなかった〝風評加害者の正体〟を暴いた福島県出身で在住者でもあるジャーナリスト林智裕氏の著書『「正しさ」の商人』の内容には共感する点が多かった。
林氏は1979年生まれ。震災や原発事故がもたらした社会不安に乗じて、福島県内では過激派など反社会的諸団体の一部やそのシンパが暗躍した実態も公安調査庁の記録からも確認できたと述べている。
行政の現地説明会や記者会見には、反社会的団体の活動家やそれに近いジャーナリストが乗り込み、恫喝や嫌がらせを繰り返したとも記述している。これに対し行政側が事なかれ主義で対応を続けたことが、活動家らを増長させたとも指摘している。
良識ある識者や学者らを〝御用学者〟のレッテルを貼り、作成したリストをもとに脅しや吊るし上げを行ったという。また海洋投棄するため多核種除去装置で放射性物質を除去した処理水を〝汚染水〟と言い続けた政党や政治家、さらに読売新聞ではないが「汚染処理水」や「処理済み汚染水」といったネガティブ表記で不安を煽り続けた全国紙の存在なども指弾している。
嘘も百回言えば真実となる。林氏は彼らを「正しさを乗っ取り、独善的な正義を売りつける商人そのもの」と風評加害者らを著書で糾弾。一方で多様な取材妨害や反社会的団体からの脅迫、根拠なき風評を国内外に拡散している活動家らの潤沢な資金疑惑にも触れている。一読してほしい。(石井仁・読売新聞東京本社元記者)









