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一期一筆
- 国連創設80年 2025.11.17
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暴走する紛争、蔓延する不平等、激化する気候変動、制御不能のテクノロジー。これは国際連合(国連)のアントニオ・グテーレス事務総長が本年初頭の総会で演説した〈4つの悪〉である。いずれも人類の存続を脅かす喫緊の課題だ。
国連は人類の悲劇とまで言われた第2次世界大戦の惨禍を2度と繰り返さないことを念頭に、戦勝国の米国が主導して1945年10月24日に設けられた国際機関である。
今年は創設80年の節目だが、設立を主導した当事国である米国のトランプ大統領が〈米国ファースト〉を掲げ、国連が推進する気候変動対策を〝詐欺〟と悪態をついたり、国連の支援が不法移民を助長しているなどと非難。複数の国連機関からの離脱や、資金拠出の停止を表明するなど国連に背を向けている。
国連は人類が築いた〝平和の砦〟であり、目指してきたのは各国の利害に左右されない人類益を最優先とする〝人類の議会〟である。拒否権を乱発する米国や中国、ロシアなどの安全保障理事会常任理事国の国連にしてはならない。国家間の論議は自国の利益優先に陥るため、このままでは戦争の世紀と言われた愚かな20世紀に〝タイムスリップ〟する可能性もある。
我ら民衆の思いは、反戦や平和をなおざりにしない世界である。今こそ国境の壁を越えて、幅広い分野で活動を展開している民衆のNGO(非政府組織)の出番である。国連と協働体制を確立し、人類の安全保障を実現する。民衆組織が前面に出て課題を解決する国連。機能不全に陥っている安保理の〝ショック療法〟になれば嬉しい。(石井仁・読売新聞東京本社元記者)









