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一期一筆
- 考えたい何のため 2026.04.20
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人生万般にわたって〈何のため〉という視点が大事だと常々思っている。どんな複雑な問題に遭遇しても、ぶれずに前に進む人は、皆〈何のため〉という原点をしっかり持っている。
「我々がどこかで道を誤ったということを理解しなければならない。人間全体は以前より多くの富と時間を享受している。だがしかし、本質的な何ものかが欠けているのだ」
これは、『星の王子さま』で知られるフランスの小説家であるサン・テグジュペリの言葉である。「道を誤った」「何かが間違っている」と言うのだ。自身が、また社会が「どこへ」「何のために」進めばよいのか。それを示してくれる智慧を今、時代が求めている。愚輩には、そう思える。
現代社会は、経済成長を至上命題としてきたが、人間の内面の成長という豊かさは得られず、疲れた生命を、はつらつとした希望に満たしてはくれない。何かが必要なのに…。科学技術が発達したにもかかわらず、幸福感は味わえていない。さまざまな会議を開いても、道徳論や哲学論を論じても、やはり何かが欠けているのである。
逆に拝金主義や物質主義、快楽主義といった風潮が全世界に拡散。その反動が自己を支える帰属意識への欲求となり、再び道を誤りそうな排外主義のうねりにつながり始めた。これが今の世界の実相でもある。
根底にあるのは、〝思想の真空状態〟に耐えられない現代を生きる人たちの弱さだ。自身の人生が〈何のため〉であるのか。頭の奥がしびれまくるほど自問を重ねる時間を、時には持ってみるのもいいのではないかと思う昨今だ。(石井仁・読売新聞東京本社元記者)









