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聖マリアンナ医科大学病院 スーパー医師による医療情報
- 乳がん撲滅を目指して―乳がんで悩む人を無くすために~聖マリアンナ医科大学乳腺・内分泌外科学主任教授 聖マリアンナ医科大学病院 乳腺・内分泌外科 部長 津川 浩一郎先生 2025.12.06
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現在我が国では一年間で新たに、約九万八千人の方が乳がんに罹られ、約一万五千人が乳がんで亡くなられていると推定されています。日本人女性においては最も罹りやすいがん種であり、死亡者数は四番目に多いとされています。四十代から六十代前半の働き盛り、家庭でも要となる世代の女性ではがん死亡の第一位であり大きな社会問題と言えます。
聖マリアンナ医科大学では乳腺・内分泌外科学講座を中心に集学的治療・ケアチームを構築しています。大学病院、ブレスト&イメージング先端医療センター附属クリニック、川崎市立多摩病院、横浜市西部病院に人員を配し、地域医療への貢献、研修医・若手医師の教育、研究に大きく力を入れております。
診療においては、それぞれが高い専門性を持ったメンバーからなるチーム医療を目指しています。精度の高い診断に基づく外科治療、放射線治療、薬物療法はもちろんのこと、整容性に優れた乳房再建、妊孕(にんよう)性温存、がんゲノム診断、遺伝性乳がんの管理、QOLを重視した転移乳がんの治療、緩和ケアなどを実践しています。そのためには、形成外科、産科婦人科、腫瘍内科、緩和ケア科、放射線診断ならびに治療科、病理診断科、遺伝診療部など関連各科・部署と協力が欠かせません。カンファレンスなどを通じ、患者さん一人一人にあった個別化医療を実現し、患者さんの高い満足度を目指しています。おかげさまで所在地の神奈川県川崎市のみならず、横浜市、東京都、さらには全国から多くの患者さんに来ていただいている実績があり、聖マリアンナ医科大学病院での乳がん症例に対する年間手術件数、七百から八百例は全国の施設の中でも常にトップクラスです。
医療の世界は日進月歩です。常に新しい知識・情報を収集しより良い診療に結び付けていくことが重要です。当施設では積極的に新規薬剤開発の治験などにも参加し、新しい治療を受ける機会を提供する努力をしています。乳がん撲滅はまだまだ先かもしれませんが、乳がんで悩む人を無くすため、スタッフ一同尽力しています。
■取材協力
聖マリアンナ医科大学病院(神奈川県川崎市宮前区菅生2‐16‐1)
☎044‐977‐8111㈹









